【Vol.268】寄稿 インディ君活用法 

その3:FIWAインディくん活用法

龍谷大学経済学部教授
竹中 正治氏


投資シミュレーションソフト「FIWA®インディくん」の活用法
その3 各種インデックス間のリスク分散効果 

Mr. Takenaka
竹中 正治氏

プロトタイプ版(無償)、本格版(年間利用料11,000円(税込))

https://fiwa.or.jp/simulation/(←インディくんのサイト)

 FIWAインディくんの活用法3回目の解説です。前回はリスクの計算方法と複数の銘柄を保有することでリスク分散効果が働き、リターンを維持しながらリスクが低減する原理とその条件について解説しました。今回は実際に内外の主要な株価(含むREIT)指数を使って、指数相互間のリスク分散効果についてFIWAインディくんでシミュレーションしてみましょう。

複数の指数に分散投資するシミュレーション

 今回使う機能はインディくんの4つある機能のうち2番目の「2、複数の株価指数の過去データに基づく定額積立投資のケース」です。ここでは例えば、主要指数の中から1.Morningstar US Large Capと2,Morningstar Japanにチェックを入れて選びます。

各指標の簡単な説明は第1の機能ページ「1、単一の株価指数の過去データに基づく定額積立投資のケース」で指数一覧の右上にある「説明」のタブを右にずらすと掲示されます。Morningstar US Large CapはS&P500(以下「米国株価指数」と記します)、Morningstar JapanはTOPIX(以下「日本株価指数」と記します)とほぼ同じ指数です。

インディ3-1

 期間はとりあえず過去20年間、毎月末に総額1万円の定額積立、米国株式指数に50%、日本株式指数に50%、配当は再投資、無理リスク資産リターンは0%という想定でシミュレーションしてみましょう。米国株価指数と日本株価指数への配分比率は指数の左にある欄にパーセントで入力します。そして「計算」のタブを押すと、単発の指数投資の場合と同じで以下の様に計算結果が表示されます。選ぶ指数の数は掲載されている全銘柄まで増やせます。

最適ポートフォリオ、最小リスクポートフォリオのシミュレーション

次に自分では各指数への投資配分比率を決めずにシミュレーションする方法を説明します。例えば、対象となる指数として日本株価指数と米国株価指数だけにチェックを入れて指定します(投資比率のボックスにはどういう値が入っていてもかまいません)。そして「最適ポートフォリオ」をクリックすると、次の様な計算結果が表示されます。

 まず画面上段に表示されるグラフは日本株価指数と米国株価指数への投資配分を10%ずつ変え積立投資した場合のリスクとリターンの分布です。右上の緑のポイントが米国株価指数100%の場合、一番右下の青のポイントが日本株100%の場合のリスクとリターンです。いずれも年率で表示されています。

 そして一番左端のオレンジのポイント最小リスクポートフォリオで、日本株価指数80%、米国株価指数20%の場合のリスク・リターンを表示しています。スクリーン下段に表示される表は各分布点の左から順にリスク、リターン、シャープ比率(レシオ)、そして20年間の直近時点(ここでは2025年2月末時点)の「時価資産総額/累積投資額」の比率、各指数への投資資金の配分比率を表示しています。

 リターン、並びにシャープ比率が最も高いのは、この場合は米国株価指数100%の場合です。前回ご説明したリスク対比でのリターンが最も高いので「最適ポートフォリオ」と呼んでおり、緑色のポイントになっています。

 また10%ずつ投資比率を変えた場合のリスクとリターンの分布が左に凸の形状をしている点に気が付いてください。これは前回説明した通り、米国株価指数と日本株価指数の間には若干のリスク分散によるリスク低減効果があり、左に凸の有効フロンティアが生じていることを意味します。ただし最大リスクポイントと最小リスクポイントのリスク量の相違は1.6%程度ですから、それほど大きなリスク低下ではありません。

 スクリーン中段にあるグラフは、単発の株価指数による積立投資と同様で、20年間の累積投資額と時価資産総額、並びに「時価資産総額/累積投資額」の比率の推移を描いています。このようにインディくんでは複数の指数に資金配分を変えて投資した場合の合成ポートフォリオのリスク&リターンの分布を最大5種類の指数まで対象に計算することができます。

 対象に選んだ指数の間にリスク分散効果があれば、上記のように左に凸の有効フロンティアが現れますので、インディくんのユーザーの皆さんはどのような組み合わせが効果的にリスクを下げることができるのか、ぜひ試してください。その結果については次回に解説致します。

(次号に続く)