【Vol.266】寄稿 インディ君活用法
新連載:FIWAインディくん活用法
龍谷大学経済学部教授
竹中 正治氏
投資シミュレーションソフト「FIWA®インディくん」の活用法
その1 あっと驚く長期・分散投資の高リターン
NPO法人FIWA®は、筆者(竹中正治、龍谷大学教授、京都大学博士)と共同で開発した投資シミュレーションソフト「インディくん」をそのサイトで公開しています。
プロトタイプ版(無償)、本格版(年間利用料11,000円(税込))
https://fiwa.or.jp/simulation/(←インディくんのサイト)
インディくんは、内外の各種株価指数(含むREIT指数)の過去データに基づいた積立投資の実績(リターンとリスク)や、その組み合わせによるリスク分散効果、さらに資産形成の将来シミュレーション、引退後も運用を継続する取り崩しシミュレーションなどが簡単に可能であり、効率的な資産形成を志向する個人、並びに投資アドバイザーにとって有益かつ説得力のある情報を提供できます。
今回インディくんの開発・企画を担った筆者がシリーズでインディくんの利用方法を初歩から応用編まで解説しようと思います。また、FIWA®主催で「インディくん活用講座」(←申し込みサイトへのリンク付き)を2025年6月20日、7月18日(対面会場は東京)PCを使った実習形式で開催しますので、ご関心のある方は是非上記のサイトからお申込みください。
単独の株価指数で過去の積立投資のリターンとリスクを確認する
インディくんでは内外16種類の主要な株価指数と3種のREIT指数の過去データを使用しています。また投資シミュレーション機能としては次の4つの機能が各ページで利用できます。各機能画面の切り替えはサイトの右肩にある「他の画面」「戻る」を必ず使ってください。一般的な「← →」で画面を切り替えることはできません。
- 単一の株価指数の過去データに基づく定額積立投資のケース
- 複数の株価指数の過去データに基づく定額積立投資のケース
- 積立投資による将来の資産シミュレーション
- 定額取り崩しによる将来の資産シミュレーション
今回、第1回目は「1.単一の株価指数の過去データに基づく定額積立投資のケース」の機能をご説明します。投資・資産形成の未経験者は、「長期・分散投資で高いリターンが実現できる」と語っても経験がないので納得感が得られないのがよくあることです。その結果、「経験がないので分からない、分からないから経験しない」という堂々巡りをしているわけです。それならば、実際の過去データに基づいて投資の疑似体験をすることで眼を開いてもらおうというのがこの機能の狙いです。
以下のインディくんのページには前掲の内外各種株価指数とREIT指数が並んでおり、右端の「説明」タブをクリックすると、各指数の簡単な説明が表示されます。指数データは全て米国の投資情報会社モーニングスター社から提供を受けているものですが、各指数はそれぞれ世間で普及している最も代表的な指数と非常に高いレベルで近似しています。
例えば最上段のMorningstar US Large Capは米国のS&P500とほとんど同じ、Morningstar Japanは日本のTOPIXとほぼ同じ、Morningstar Global MarketsはMSCI ACWI(通称オルカン)とほぼ同じです。各指数は作成・公開元のブランドであり、その利用にはかなり高額の情報料の支払いが必要になるため、利用料が比較的安価なモーニングスター社の情報を利用しています。
対象となる株価指数をクリックして選んだら、後は対象となる期間(始期と終期)を選び、毎月の積立投資額を入力して「計算する」のタブを押すだけです。すると、以下のような計算結果とグラフが表示されます。毎月末に1万円投資すると20年間での累積投資額は240万円になります。24年12月末時点の時価資産総額は1,660万円、時価資産総額/累積投資額(倍率)は、なんと6.9倍になることが分かります。これを年率利回りに換算すると16.9%という驚くほどの高リターンとなります。画面右肩にある「説明」をクリックすると各項目の簡単な説明が表示されます。
また、「配当の扱い」のタブで、毎年生じる配当を再投資するか、あるいは、普通預金など金利のほぼ付かない流動性預金に蓄えるか選択できます。長期投資では配当などを再投資することでリターンが高くなります。
また、画面の下半分には20年間にわたる累積投資額、時価資産総額、時価資産総額/累積投資倍率の推移がグラフで表示されます。時価資産総額/累積投資額が1.0を割り込んでいるときは株価指数の下落で評価損(元本割れ)、1.0を上回っているときは評価益で、その推移をグラフで見ることができます。
このケースでは、2008年のリーマンショックの直後にこの倍率が0.567まで低下し評価損になっていることが分かります。しかし2012年には倍率は1.0を回復し、その後上下動はあっても元本割れはなく、直近では6.9倍にもなるわけです。短期・中期の資産価格の変動リスクを引き受けることで、長期では高いリターンが実現できることを実感してください。
(次号に続く)