【Vol.278】FIWAサロイン塾講演より(講演)
第一回サロイン塾 「木を見るな森を見よ」
今回は、今年全体のテーマとして証券市場の骨組みのお話をしていきます。
「木を見るな森を見よ!」というのが今年全体の大きなテーマです。森の中の一本一本の木が大事ではなくて、森全体が大事だということです。
今回は、「将来の自分は今の自分が支える」という人生を通じての資産運用の一番中核をなすポートフォリオ理論についてお話をします。
私は、3つの最も重要な言葉を「リターン」と「リスク」と「ポートフォリオ」だと思っています。リターンとは「だいたい何%ぐらい儲かりそうですか?」という収益率です。
リターンの予測はそう簡単に当たるわけではありません。上にも下にも大きくブレることがあります。それぞれの銘柄についてどれぐらい大きくブレる可能性があるか、これをリスクと言います。リターンは想定する収益率。リスクは目標からのブレ幅です。よく、リターンは上値の目処、リスクは下値の目処と考えている人がいますが、それは間違いです。リターンは上にも下にも行きます。リスクはそのブレ幅です。もちろんリスクが大きいということは、大きく上に行くかもしれないし、下に行くかもしれない。リスクが小さいということは、上にも下にも小幅な動きだということです。いろいろな銘柄をひとまとめにパッケージにしたものがポートフォリオです。いろいろな銘柄がそれぞれ異なった動きをしています。いろいろな種類のお菓子が入ったギフトボックスのようなものをポートフォリオだと考えてください。
例えば、10年間の日経平均の毎月末値の推移を線グラフで表したものがあります。一方、これを毎月の変化率として見る平均的な変動率があります。平均を中心として毎月、上下に大きく変動したものが棒グラフで表されます。この棒グラフがドーンと上がったときは、すごく上がったわけです。また棒グラフが下がったときはすごく下がっています。
平均値にはいろいろな種類があります。「平均は何%ぐらいですか?」と聞いた時に、計算方法は算術平均と幾何平均と2つあります。
算術平均とは、毎年あるいは毎月の一年毎の変化率の平均です。少し古いですが2002年から2013年までの過去10年間の日経平均の価格変動率を表したグラフを見ると、この期間の算術平均は6.8%でした。仮に6.8%上昇が10年続くと、本来日経平均はほぼ倍の1.9倍になっているはずです。しかし実際には2003年末の10,559円から2013年では、ほぼ14,300円(1.35倍)ぐらいにしかなっていません。
一方で幾何平均というものがあります。10,559円でスタートしたものが14,300円で終わっているということは、もし毎月同じような率でずっと上がっていた場合、何%ずつ上がっていればここに到達できるのか?という計算方法です。これは3.1%になります。このように算術平均と幾何平均という違いがあります。
一般的には算術平均を使うことが多いのですが、「戦後の日本の日経平均は、80年経って年率何%で上がっているか?」ということに関しては、幾何平均的な考え方ということになります。
毎月の変化率の分布状況を見てみます。ここでは2003年末から2005年末までの期間を例にとっています。例えば最初の月は-4%なでの、-2.1~-4%のバケツにボールを1つ入れます。次の月は9%ですから、8~9.9%のバケツにボールを1つ入れます。これをずっと続けていきます。全部やってみると山型、あるいはベルを鳴らすベルの形になっていきます。真ん中が一番高く、左右の裾野の方へ行くほどボールの数は少なくなっていきます。長期的な株価推移を分析してみると、一般的にその結果は左右対称で真ん中が一番高く、両端へ行くほど高さが低くなるベル型のような形になります。
山型の一番高い頂上の所が一番確率性が高い平均値です。そうすると、この広がり具合が大きいほど、どこに行くか分からない。うんと上がるかもしれないし、うんと下がるかもしれないということになります。山の頂上である平均値を中心にして山の面積の全体の3分の2が入るような右側と左側の横幅を、標準偏差という数値で表します。平均を真ん中にして左右に1標準偏差の距離をとると、ちょうど全体の面積の3分の2が含まれる。言い換えると、長期間で発生するいろいろなリターンはどこに行くか分からないけれども、およそ3分の2の確率でここの間に入ります。これがリスクを表しているわけです。さらに、2つの標準偏差を取ると全体の95%、つまりほとんど全部含まれます。これをどのように捉えるか。
算術平均で毎年の変化率を取って、単純に合計して10年で割ると6.8%になります。この6.8%から、前年比の変化率が2%の場合、-4.8%下ブレています。翌年の変化率は21.3%ですので14.4%上ブレている。下ブレも上ブレも共にリスクです。しかしこれを全て合計するとゼロになります。当然、一つの平均値からの乖離を取っているわけですから、全部合計するとゼロになる。ここで出てきたのが偏差の二乗という考え方です。この偏差値を全部二乗します。-4.8%×-4.8%=0.2%になります。14.4%×14.4%=2.1%になります。その二乗した数値を合計すると70.5%。その70.5%は10年ですから1年あたりで7.0%、それを今度は標準偏差という形で計算し直すわけです。そのルートを取り外すと26.5%。これがよくポートフォリオあるいは株式市場で言われる、標準偏差=リスクが26%、平均リターンが6.8%と言われます。
講演ではリスクとリターンの関係と相関について、またハリー・マーコヴィッツの効率的ポートフォリオの説明や、マーコヴィッツの考えを実用に近づけた、ジェームズ・トービンの分離定理と超効率的ポートフォリオについての解説。
「超効率的ポートフォリオとは何か」、「たくさんの銘柄で構成されるポートフォリオの最適化をどうしたら行えるか」、という課題の答えを出したウィリアム・シャープについては3月15日、本年第二回FIWA®︎サロイン塾へと続きます。
(文責FIWA®)




