【Vol.230】FIWA®マンスリー・セミナー講演より KK時代のプロエイジングな生き方

投資教育家兼ファイナンシャル・ヒーラー®
岡本 和久

Okamoto

華麗なる加齢。人生は生まれた日から死ぬときまで、ずっと進化していく過程です。だからプロエイジング。老後になると若い頃にはなかった存在することの持つ力、自分も他人も幸せにする「存在力」が生まれてきます。

KK時代とは後期高齢者のことを意味します。後期高齢者とはあまり聞こえが良くない。それで私は「KKクラブ」と言っています。やはり人類の長い歴史の中で、それぞれの年代に最適な力を持つことができるように DNAをプログラミングしてきた。これが存在力でそれはまさに遊び力。遊びといっても、ただパチンコをやって遊んでいるわけではなくて、本当に自分のやりたいことをすると、それが世の中のためになる。「観音経」の中に遊びという言葉があります。「自分の学んできたことをみんなのために説明して教えてあげる。これが観世音菩薩の遊びである」これも示唆に富む言葉です。

就業中は生活という束縛があります。定年になると組織という束縛がなくなってきます。そういう中で重要なことは『invest in loss』、lossとは「損失」ではなく「手放し」ていくことです。手放すことに投資をしていく。手放すことが投資であると思う。退職を迎えて、それまで資産形成してきたことで、ある程度生活の目処が立ち、金銭的束縛から解放されたところで、『Do less, enjoy more.』、より少なく活動をして、より喜びを大きくする。

体力や知力の束縛が発生してくるので、それとは別の種類の力が出てくる。老前は、力の種類として、行動力、技術力、知力、体力が、非常に大きいのです。これらは働きの時代に必要とされる力です。これらが大きかったために、存在力が相対的に小さかった。老後になると、これらの4つが小さくなっていくため、存在力が大きくなっていきます。

存在力とは、外的な束縛(生活、組織、金銭)が減少するほど現れてくる力、人間が本源的に持っている力です。その究極の姿が何事にも打ち負かされることのない境地なんだろうと思います。何かを行うとか、何かを持つということではなくて、そこにある、そこに存在するという力です。

存在するだけで周りが元気になり幸せになる。そして「居がい」居ることの「かい」です。『何もしなくても、なんかあの人がいると組織全体、会議が上手く回るよね』そういう力です。存在力というのは老後の時代、KK時代にとても重要になってくると考えています。 

お金が増えてくるとだんだん品格が下がってくる人がいます。こういう人はお金の奴隷です。一方でお金の主人になっている人はお金が増えていくことによって品格が上がっていく。さらに、しあわせ持ちになるためにお金の主人になった人が、その財産を減らしながら、つまり『invest in loss』しながら人生の主人公になる。品格を高めていく。そういう図式が描けるのではないのかと思います。

高齢化の特徴で「昔話をする」。なぜなら若者は昔のことを知らないので同じ話を何度もして伝える。若者の記憶に浸透、定着させる。「物忘れが多い」。これは一期一会の練習です。「出かけると疲れる」。だから隠居として相談にのる。隠居とは良い言葉ですね。「耳が聞こえにくい」。ネガティブな話はスルー。「小さい字は読めない」。大局をとらえればいい。「若い人に負ける」。若い人に負けるということは非常にいいことです。人類が進化しているということですから。「面倒くさい」。だから本当に大切なことのみをする。

だんだん高齢になると病気がちになります。でも病気になることは大きな学びの機会です。私も9年ほど前に胃がんで胃を切除しました。2016年には重症筋無力症、そこからずっと治療を続けていましたが、今年の始め、それがさらに悪化して、しばらく入院をしていました。その度に色々な気づきを与えてもらっています。

死はリスクではありません。人間は必ず死にます。だから死そのものにはリスク、不確実性はない。ただ問題はいつまで生きているのかというところにリスクがある。これは不確実性。一つ確実なのは、今生きているということです。そう考えると、今できることをする他ないのではないのか。命より大切なことは、生きている価値を生かすこと。それが大切なのです。

生きた後(いきたのち)に残すものが「いのち」。結局あと何年生きることができるのか考えても意味がないので、今できることを、そしてみんなのため、未来のためにいいことを確実にやっていく。それが一番幸せな生き方ではないのかと今つくづく思います。老化と病気は違います。病気は治せば良い。老化は治そうと思っても治るものではない。年はとっていくもの。受け入れていかなくてはならない。

心地良い向かい風を楽しむ。追い風は歩くのは楽ですが、同時に後ろからの埃を背中にべったりつけていきます。逆に向かい風は、歩く時に抵抗がありますが、自分についた埃を後に吹き飛ばしてくれます。だから常に向かい風を受けているということは、とても大事なことだと思います。負担になって吹き飛ばされてはいけないと思いますが、常に心地良い向かい風を楽しんでいくという姿勢は、重要だと考えています。

私がいつも思うことは、我々みんな「しあわせ袋」というもの背負って生きている。毎日、毎日、体験する大切な、しあわせな思い出を背中の袋に入れていく。それを毎年、毎年、入れていくと、人生最後を迎える時にそのしあわせ袋が一番いっぱいになっている。一番しあわせになれる。「死ぬときが一番しあわせ」、そんな生き方をしていきたないと思います。

プロエイジングのキーワード「まっ、いいか」この言葉は非常に重たい言葉ですね。講演では、本多静六先生の含蓄のある言葉の説明。また、ご自身の15年サイクルの人生の軌跡と、第6期を迎えられた今後の展望をお話いいただきました。