【Vol.230】FIWA®マンスリー・セミナー講演より 相談ビジネスの現状と将来性~アドバイザーの提供できる価値とは~

株式会社 リンクマネーコンサルティング 高橋 忠寛氏

Takahashi Tadahiro

独立系投資助言業者8年目の高橋さんが、アドバイザーを4つの立場に分類され、その立場によって提供される価値や方向性が異なることにつき解説をいただきました。また、アドバイスに価値を見いだす顧客の特性を知ることで、アドバイザーが提供できる価値が浮き彫りになる。そのようなお話しをしていただきました。

2014年にアドバイザーとして会社を立ち上げました。日本ではまだ、アドバイス・ビジネスで生計を立てて、それをメインでやっている人は少ないと思いますが、現状相談で仕事をやっています。

トータル11年、金融機関の営業現場で金融商品の販売をしてきました。その中で、一般の方に提案されている商品と金融リテラシーの高い方が利用している商品にはギャップがあり、お客様が知らないことに付け込んでビジネスをしているのではないのかと感じたことをきっかけに、独立をして、将来的にはお客様のアドバイザーとして、金融教育、投資教育をしていきたいと考え、その準備に取り組んできました。

相談ビジネスの現状の中で、FPのビジネス、アドバイザーといっても、純粋なFP業務というよりは、ファイナンシャル・プランニングという視点を活用して商品を販売、実行支援をしているという方が中心なのかなと思います。一般の方がFPと出会った時は、『この人はどういう分野で仕事をしているのか』を確認すると良いと思います。

資産運用アドバイザーの立場は、大きく分けると4つの立場で整理ができます。一つ目は、銀行、証券会社、保険会社などの担当者。この方たちも名刺にファイナンシャル・アドバイザーとか、ファイナンシャル・プランナーと肩書きがついていることが多いです。基本的には、金融商品取引法や銀行法、あるいは保険業法というルールの中、金融商品を販売することによってビジネス手数料を受け取っています。数でいうと圧倒的に多いと思います。

二つ目は、独立系の金融商品仲介業者。最近IFAという肩書きで目にする機会が増えています。金融機関から立場は独立していますが、証券仲介業として、投資商品の仲介を行い、金融会社からコミッション手数料を受け取っているという立場の人たちです。金融商品の高い手数料の商品を販売すれば、アドバイザーの収入は増えます。つまり、投資家(利用者)と販売に関わる人はどうしても利益相反の関係になります。独立はしているものの中立とはいえない立場だと思います。

三つ目が独立系投資助言業者。私の会社も助言業の登録を受けていますので、この立場になります。金融機関から独立をして、かつ金融商品の販売には関わらずに、直接お客様から相談料や顧問料を頂くので、独立かつ中立の立場のアドバイザーといえると思います。アメリカではRIA(registered investment adviser)という、一任で売買ができるような資格がついているアドバイザーが多く、日本の投資助言業者が、立場としてはアメリカの独立系のアドバイザーに一番近いでしょう。

4つ目は、助言業の登録はしていないけれど、金融商品の販売には関わらずアドバイスをしていく、独立系のその他ファイナンシャル・プランナーです。FIWA®のアドバイザーは三つ目、四つ目に区分され、金融商品の販売に関わらないアドバイザーが活動しています。数としては、圧倒的に一つ目と二つ目が多く、その中でも特に一つ目の数が多いのが現状です。今後、3つ目と4つ目が増えていけば良いなと思いますし、間違いなくそちらの方に進んでいるのではないのかという実感はあります。

私が独立をした2010年。アドバイザーとして仕事をする時に、IFA仲介業の登録を受けてやっていかないかというお話はいくつか頂き、正直悩んだ時期もありました。やはり金融商品を販売すると、できるだけお客様の利益を優先しても、『少しでもたくさんの投資をしてもらおう』とか、『こっちの商品だと少しでも手数料が高くなる』というようなところがアドバイスに影響を与えてしまう。もしくは『そのように疑われてしまう立場はやりたくない、できれば避けたい』ということで、IFA仲介業ではなくて、助言業として登録しています。

弊社の例でいうと、有料で相談サービスを利用してみようという人は、情報に対する意識が高いことが共通しています。また、いろいろ勉強して情報収集したけれど自分では判断ができない。以前、相談して薦められた商品を後から振り返ってみると、あまり良くなかったのではないのか、という経験をされている方。FPに相談して薦められて始めたけれど何か不安になって相談に行くと別の商品を勧められた。そのような方が完全に独立した中立のアドバイザーによる有料相談を求めているのです。

また、人生で大事な自分のお金をどうしていくのか、慎重に判断しようという方が多いです。そしてみなさん勉強熱心です。自分で立ち上げた会社を上場させて、それなりの大きな資金を手に入れたとか、相続で先代から引き継いでいるという方もいらっしゃいます。ただ、『有料でやっていますよ』と言うと、『富裕層やお金持ちだけをお客様にしているのではないのか』と言われることも多いのですが、同時にこれから資産形成していこうという20代30代の一般のサラリーマンの方もいらっしゃいます。そういう意味では、お金をいっぱい持っているのかどうかというよりは、相談に対してお金を払う価値を感じているのかどうかということです。若くて、あまり貯金がなくても『将来の自分の資産形成のために何をしていけばいいのか、自分にとってベストの方法を知りたい』という若い方も多くいらっしゃいます。

講演では、自己紹介から始まり、実際の相談ビジネスの現状や、アドバイザーのビジネスモデル、相談業務のポイントについて実例を基にわかりやすく解説。また、お客様にどのようなサービスをいくらで提供するのか、非常に明快にご説明くださいました。最後にアドバイザーが提供できる価値や、相談ビジネスの明るい将来性についてお話くださいました。