【Vol.253】FIWA認定新会員 投稿コーナー

2024年に「iDeCo野郎」として伝えたいこと

寄稿:FP事務所ライフホーカー 代表FP 神中 智博 FIWA®
*FIWAは金融商品の販売を行わないアドバイザーに与えられる称号です


神中 智博 プロフィール

神中

1992年宮崎県生まれ。
関西学院大学アカウンティングスクールを修了後、NTTビジネスアソシエ西日本で、NTT西日本およびグループ会社の財務や内部統制、DX化等の業務に従事。マレーシアへの留学を経て、2022年10月兵庫県神戸市にFP事務所ライフホーカーを開業。金融商品や保険商品等を販売しない独立系ファイナンシャルプランナーとして、家計の見直しや資産形成に関するアドバイスのほか、オンラインメディアでの記事執筆、講演会やセミナーでの講師を務めている。
1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)、AFP(2023年12月CFP®全6科目合格)、趣味は野球観戦と海外旅行。


iDeCo野郎の背景

私は、X(旧Twitter)を発信ツールとして積極的に活用しています。現役世代が今日からできる老後資産づくりをテーマとする、公的年金および確定拠出年金に関する解説は、5,200というフォロワー数(2023年1月時点)が示すように、日増しに高い関心が寄せられている印象です。

さて、政府の「資産所得倍増プラン」に基づく、NISA制度の大胆な改革が話題になった昨年2023年。非課税枠の拡大や、非課税期間の無期限化、生涯投資枠の新設など、その内容が衝撃的だったことは、これ以上言うまでもありません。また、大手ネット系証券会社による売買手数料の無料化など、「投資の民主化」も進んだ2023年は、歴史的な1年だったと言えるでしょう。

一方で、NISA制度の拡充によって、個人型確定拠出年金(iDeCo)の存在意義も問われた1年だったように思われます。たしかに、2024年、今まさに始まった新しいNISAを使えば、ライフプランを通じて資産を育てることができますが、iDeCoを含む確定拠出年金、私的年金が「老後に備える」ために有効な選択肢であることは、強調しておく必要があります。

そんな私の想いがXで爆発し、iDeCoの解説に注力し続けた結果、いつしか一部のフォロワーから「iDeCo野郎」と呼ばれるようになりました。もちろん、私はNISAを否定しているわけでもありません。NISAとiDeCo、それぞれの制度が持つ価値を、用意する資金の目的に合わせて活用してほしい想いは、フォロワーにもきっと伝わっているはずです。

2024年は財政検証でiDeCoにも注目が集まる

人口動態や経済情勢の変化に基づき、公的年金の給付と負担の将来見通しを5年に1度見直す「財政検証」は、公的年金のビッグイベントです。前回(2019年)の財政検証でも、現役男子の手取り収入に対する夫婦のモデル年金額(所得代替率)が、2019年度の61.7%から2047年度には50.0~51.9%に低下することを示す試算が話題になりました。

今回の財政検証の結果次第では、公的年金の上乗せ給付を目的とするiDeCoの拠出限度額を引き上げる議論が本格化するかもしれません。さらに、国民年金保険料の納付を現在の40年から5年延長する議論も、厚生労働省の審議会では本格的な議論が始まったところです。こちらも、iDeCoに加入できる年齢の引き上げとも密接に関わる内容として、ぜひ注目してもらえればと思います。

なお、2024年12月から、確定給付型の企業年金が導入されている会社員や公務員等の拠出限度額が20,000円(現在は12,000円)にアップすることはすでに確定しています。

このような事情を背景に、2024年は「iDeCo」という単語をこれまで以上に見聞きする1年になることでしょう。iDeCoの理解および普及の促進に向けて、私も身が引き締まる思いです。

FIWA認定アドバイザーとしての決意

最後に、iDeCoはあくまで選択肢の一つに過ぎず、賢明なリタイアメントプランニングには多様な選択肢が必要です。つまり、アドバイザーとしてiDeCoを正しく届けるためには、iDeCoの節税メリットばかりを強調するのではなく、リタイアメントプランニングにおける必要性を、公的年金やその他の私的年金等も踏まえて、しっかり相談者に理解してもらう必要があると言えるでしょう。

相談者が安心した未来を築くための行動を、FIWA認定アドバイザーとして、2024年はより一層力強くサポートしてまいります。