【Vol.247】FIWAマンスリー・セミナ講演より(講演1)

『自分を活かし社会に貢献する(活私奉公人生設計)

講演:藤井 義彦氏
レポーター:赤堀 薫里

藤井 義彦氏 プロフィール

Mr. Y. Fujii

神戸市生まれ。慶應義塾大学経済学部卒、スタンフォード大学経済学部卒。(株)カネボウにて 25 年間営業に従事し、その後企画部長、外資系日本法人社長を経て、ガンガー総合研究所(GRI)設立。ハーバード・ビジネススクール AMP(高等経営者講座)修了。慶應義塾大学院ビジネススクール特別研究教授、西北工業大学客員教授、等を歴任し、多くのビジネス・パーソンの教育に尽力。

2011 年 10 月、一般社団法人グローバル・リーダーシップ・コーチング協会を設立。グローバル化を目指す企業に対し、エグゼクティブコーチング、グローバルリーダー育成を通じて、企業を支援することで社会全体をもっと元気にすることを目標に活動中。

著書に、『挑戦 ! ハーバード AMP 留学』『ヘッドハンティング』『できるビジネスマンは瞑想をする』『ハーバード流「第二の人生」の見つけ方』( 以上、東洋経済新報社 )、『自分を高めるキャリアメーキング講座』『経営者格差』(以上、PHP 研究所)、『仕事で疲れたら、瞑想しよう』(ソフトバンククリエイティブ)、『頭を「空っぽ」にする技術』( ナナ・コーポレート・コミュニケーション )、『どんなときにも成果を出すリーダーが磨き続ける 5 つの要諦』『あなたの働き方・生き方革命』( 以上、日本生産性本部労働情報センター ) 等、監修に、ジム・バグノーラ著『人生のプロフェッショナル思考』(経済界)がある。


自分を活かし、社会に貢献する。これを私は活私奉公と名づけています。どのように自分の人生に活私奉公をするのか。自分の人生に目的と夢をもって、それをどのようにして実現していけばいいのか。

何歳から始めても遅くはないでしょう。自分の人生に目的と夢をもって実現していこうとすると、いろいろなことに気付かれると思います。ぜひその気付きを直ちに実行してもらいたいと思います。

自分の人生に置き換えた場合、自分の人生で追求してきたことは、自分のやりたいこと、夢を見つけていろいろ努力してきました。その努力は、非常に多くの失敗に終わっています。私の良かった点は、失敗を失敗と考えずに失敗からいろいろな教訓を得て、成功するまで努力して挑戦してきたことでしょう。この世の中に存在する天の力、瞑想の力、自然の法則、そういうものが自然に助けてくれるようになったのではないのかと思います。

人生100年時代においては金銭も非常に重要ですが、金銭以外に無形資産。例えば仕事の成功に役立つようなスキル、知識。バランスのとれた生活。家族との関係。活力資産といわれるような肉体的、精神的な健康。また、自分を変えていくために人的なネットワークを持たないといけない。

お金は非常に重要だと思います。お金は全ての基本になってくるのではないのか。お金はあればあるほどいいと思いますが、お金の奴隷にならない。それと一緒に金銭に換算できないような資産を身に着けることが、自分らしく幸せに生きるためすごく重要になってくると思います。そうなるためには、あなたがた、1人1人の意識を変えていかないといけない。

会社の中に入って、上司の意見を忖度し、自分の意見をはっきり言えない。11時や12時まで自分を滅ぼすように懸命に働いて奉公していくのではなくて、自分を高めて自分を活かして奉公していくことが重要ではないのかと思います。

会社には会社の理念、ビジョン、ミッション、バリューがあります。それと同様にあなたの人生の目的がある。夢、ミッション、ビジョン、バリューがある。あなたと会社のミッション、ビション、バリューが一致することが一番いいのではないのか。それが本当の意味での活私奉公になるでしょう。自分を活かして会社、社会に貢献していく。そのように意識を変革することが一番重要ではないのか。その基本になるのが、あなたはあなたという従業員1名の会社の起業家である。

自分を高めるためにはどうするのか。あなたがた一人一人がリーダーにならないといけません。リーダーとは、人が二人以上いた場合、必ず一人がリーダーになって後の人はフォロワー。そのリーダーとフォロワーが状況によって、リーダーがフォロワーになったり、フォロワーがリーダーになったり立場が変わってきます。

リーダーというのは特定の人だけ、社会的に地位が高いとか、会社で成功している人だけがリーダーではありません。みんな一人一人がリーダーになっていかないといけない。あなたがた一人一人がリーダーとしての自覚をもって、世界の全員がリーダーである意識を持たないといけない。

リーダーには二つあります。世間でいわれているリーダーシップとは、自分の外側、上司部下、顧客、同僚、社会という外側に対するリーダーシップ。フォロワーに対するリーダーシップが、リーダーシップだと思われています。これだけではなくて、あなた自身をどのように磨いていくのか、自分に対するリーダーシップというのがフォロワーに対するリーダーシップと同様に非常に重要です。

自分の中にもたくさんの自分がいます。自分の人生のビジョンや戦略を立てて、自分の中の自分を鼓舞してそれを実行していく。自分の中の自分をリードしてくことは非常に重要ではないのかなと。

私たちが提示しているリーダーシップは、自分の言葉でビジョンを語ってください。借り物の言葉ではいけません。自分が本当に思っている思いをあなたのビジョンにしてください。自分の言葉で作ってください。簡単でわかりやすく。周りの人をわくわくさせるようなビジョンを作ってください。

自分と他人に対して、ポジティブな影響力を発揮することがリーダーシップです。リーダーシップとは、最終的に目的、夢、成果に向かってフォロワーが、あなたの部下が、自ら具体的に喜んでついてきてくれるのがリーダーシップです。権威で人がついてくるのではなくて、あなたの個人的な魅力で、あなたの周りの人があなたについてきてくれているのかどうかを、よく自分に問いかけてほしいと思います。

講演では、これからどのような時代になっていくのか、また、人生のプロになるための意識変革の重要性について。また、人はそれぞれどのように夢と目標を持ってそれに挑戦していけばいいのか、ご自身のモットーである、明るく、楽しく、さわやかにご講演いただきました。

(文責 FIWA)

フリー・ディスカッション

岡本|瞑想を続けることによって、物事が上手くいくというメカニズムみたいなものがあるのでしょうか。よく「自然の支援」ということを言いますが、自分の思いが天に届いてそれで天が助けてくれるみたいな。その辺のことをどのようにみなさんにわかりやすくお話をしたらいいのかお伺いしたいです。

藤井|その辺りのことを科学的に易しく説明できれば、瞑想普及をするときにものすごく役立つと思います。一般的には、人間には顕在意識と潜在意識があります。潜在意識に自分の思いをいかに刷り込むか。潜在意識に思いを刷り込むと、自動的に潜在意識が全て実現するようにしてくれると、言われています。ただ今、量子力学と哲学的なものは、目指しているものが同じようだと言われてきています。量子力学的にいうのであれば、この世の中は全て波動です。波動的な論理から瞑想すると、必ず実現するということが、科学的に説明されるみたいです。そのところは、勉強しないといけないなと思っています。これからやります。

岡本|やはり、その辺りが説得力ある話ができるとわかりやすいと思います。でも、もっと単純に考えたら、あたふたして、余分なことを考えるよりも、ゆっくり落ち着きながら何かを考えてやっていって、仮に、その時に上手くいかなくても、楽観的に物事は上手くいくと考えてやっていると自然と上手くいくということはありますよね。

藤井|私はそう思っています。岡本さんの「薄紙の法則」があるでしょう。あれは素晴らしい法則だと思います。人生ある意味では自分の夢を見つけて、それを実現しようとあくせくやるのがいいのか、自分の夢は夢であるのはいいのだけれど、自分のペースに合わせて、ゆったりと薄紙のごとくやっていれば上手くいくのではないのか、というものの考え方があります。

自分のハードルを高くして頑張るのか、ゆったりと頑張るのか。私は自分のハードルをできるだけ高くして、自分の目標、やりたいことをできるだけ早く実現するように頑張ってきましたが、それを反省すると、そんなことをしなくても、自分の夢はあるし、人間なるようにしかならないのだから、のんびりといくのもよかったんじゃないかな。どちらのほうがよかったのかなと、今考えているところです。

岡本|「薄紙の法則」は、実は私以上に熱心な瞑想者である私の妻が言っていることのパクリです。そうだなと思います。やはり、目標を高いところにおくことはいいと思いますが、その目標に到達するために、そのことに一生懸命になりすぎて、先回りしてやろうと思うと、上手くいかない。そこはまさに薄紙で、目的を変えないでずっと薄紙を積立てていくということではないのかなと思います。

参加者|超越瞑想をしていれば、最初に大きな願望を持って、ただ瞑想していけばその存在が私たちの願望をかなえるようになる。超越瞑想は顕在意識、潜在意識というものがありますが、潜在意識のさらに下に超越意識があります。その超越意識を心が体験することで、それを願望できるような自分に近づけくれる。私はそのように思います。振りかえってみると、自分が大きく実現すると思っていなくても、いつの間にか、かなっていたと思います。そこが超越瞑想のすごいところだと思います。潜在意識はとても大切です。それを私たちはどんどん拡大して、さらにその下にある超越意識に心を体験させることで、心を満足させ、器の大きな人間だったり、心の広い人に自然としてくれます。

参加者|瞑想をずっと40年やっていますけど、僕の考えでは、なんかちょっとした悪いことをやっても、すぐに自分に返ってくるので、悪いことができなくなる。自然に自分がやろうとしていることが、自然法則に同調してくる。そういうイメージです。なんか悪いことがあったら、なんで返ってきたのかな?といつも考えていますが、だいたい思い当たることがあります。だからもう悪いことをしないようにしようねと。

藤井|あまり悪いことをしないと面白味のない人間になってしまいますよ(笑)。

参加者|それは面白味がないのではないですよ。ただそこにいるだけで幸せという感覚がだんだん身についてきますので。みんなどうして瞑想ばかりしているんだろうというのは、楽しいからです。だんだんそういう自分になってくる。それが成長だと思います。

参加者|今日は素晴らしいお話を聞かせていただきました。これからの人生の生き方に生かしていきたいなと思っています。マハリシの格言というのですかね、いろいろな言葉があります。その一言、一言を繰り返しながら味わっています。

その中でマハリシがおっしゃっていることの一つに、『私たちが実現する能力が与えられずに、考えを抱かせることはありません』とおっしゃっていました。考えがあるということは、その人には実現する能力があるということ。つまり、思っていることは実現するということ。

だから小さく思うと、小さい想いがそのまま実現されてしまう。だから大きく考えなさい。自然は大きなものが好きなんですよ。小さく考えるよりも、人びとの自然の考えで大きなこと、世界平和であるとか、地球環境のことを考えなさいということだと思います。

岡本|藤井さんの本の中で、『瞑想をするんだ』というと、欧米の人たちは、まるでジョギングを始めるような気楽さで瞑想を始めるということを書かれていました。すごく気楽に瞑想をやっています。エクササイズだと考えている。テクニックを学ぶんだと、でもそれは効果をもたらしている。それを日本は妙に宗教と結びつけたがる。禅というようなものがあるのかもしれない。良い宗教も、あるいは変な宗教とかいろいろありますから、怪しげ、なんかツボを買わされるのではないのかというように懸念になってしまっているのが、不幸だと思います。

藤井|全くその通りだと思います。だから瞑想に対する日本人と欧米人の感覚が違うんでしょうね。日本人は本来、瞑想が最も流行ってよい歴史を持っています。禅とかいろいろありますからね。でも逆になってしまっています。アメリカ人は多角的だから、かえって東洋的なものにものすごく惹かれるのかもしれませんね。欧米人は簡単に始めて、だめだったら簡単に止めます。日本人はなかなか始めない。初めてもいろいろなことを考えすぎて、継続もなかなかできない。そんなに愚直にやることは必要なのではないのかと個人的には考えています。

岡本| まさに世界的にショートターミズム、短視的な見方が中心になっているので、すぐ結果を求める。今日やったから明日よくなるんだ。自然の支援がすぐ来るのではないのかと待っていたけどすぐ来ないからもう止めた。こうなってしまう傾向があります。

財産を積立て投資で少しずつ増やしていくということも、一晩で急に増えるわけではありませんから。何十年も続けて、安い時に多めに買って、高い時に少なめに買っているということを機械的にね、とにかくずっと続けて30~40年やっていると、それなりの資産は貯まりますよ。それと同じようなものではないのかなと思います。薄紙ということになるのでしょう。今日はありがとうございました。

(文責 FIWA)