【Vol.244】FIWAマンスリー・セミナー講演より(講演2)
ホーリスティックなライフプラン
講演 FIWA理事長
岡本 和久 CFA, FIWA
レポーター 赤堀 薫里
我々が生きている目的は、お金持ちになることでもなければ、出世をすることでもない。しあわせ持ちになるということが最終的な目的です。そのために必要なことがホーリスティックなライフプラン。
一般的にライフプランとは、家計の資産、負債、収入と支出、年金や保険の問題等が中心になります。しかしその前にきちんとライフプランを考えておかないといけない。お金に絡んだ部分はマネープラン。マネープランはライフプランの中のごく一部分です。人生というどんな大きな山にどうやって登っていきたいのか、自分の気持ちの中で確信を持っていくということが大事だと思います。
お金に関するプランの前に、人生を通じてのロードマップをきちんと持つことが大事です。自分の人生のビジョンとミッション、それを考えていきましょう。そのヒントになるのが、もし自分が人生最後の日を迎えた時にどんな言葉を残したいのかを真剣に考えてみるということです。みなさん1人1人違うと思いますが、それは一つのヒントになると思います。表面的な自分ではなくて最終的に本当の自分がどういう自分になりたいのか。それがビジョンです。その過程で必要とされるのがミッションです。自分の性格を知っておく必要があるでしょう。
お金について私は75文字の資産運用を提唱しています。まず、就業中の人のための資産形成。若いうちから毎月、収入の一定比率を全世界の株式インデックス投信を対象とし、非課税口座で積立投資をする。相場変動に関わらずリタイアするまで絶対に止めない。続けるには、分散、積立、長期、継続、低コスト。分散がとても大事です。これだけです。
それでは資産活用はどのように運用するのか。現在の時価に相当する資産額を想定した余命年数で割って、その分を株式投資から売却していく。全部株式投資を売却した場合、あとは債券や預金を現金化して、それに年金等を加えて、幸福感が最大化するような使い方をする。これをやっていると、絶対に亡くなるまで資産が枯渇することはありません。ただし、100歳まで生きると思っていたのに110歳まで生きそうだということであれば、割り算の部分の余命年数を増やせばいいわけです。その分、毎月降ろせる金額は減ってはいきますが、なくなることはない。その程度の管理であれば誰でも簡単にできると思います。一番大切なことは続けること、続けなければ成功はない。
長期投資の長旅の途中で3つの悪魔と遭遇します。最初は無知の悪魔。『株なんてやってもしょうがない。あんなものはまともな人間がやるものではない』と、最初は思っても、いろいろ勉強をして、『やっぱりやらなくてはいけない。』そうるすとドカンと一回下がる。恐怖におびえることになる。これが2番目の悪魔です。
『もうやめようか。』と思いながらも、それを乗り越えて続けると今度は欲望の悪魔。『こうやったら儲かるのではないのか』と、いろいろなセミナーに出たり、YouTubeを見たりして、おいしそうな話に手を出す。無知、恐怖、欲望、これらの3つの悪魔を退治する。
4(し)ない。急がない、欲張らない、考えすぎない、争わない。そして5(ご)無用。相場観はいりません。銘柄選択力。これもいりません。全世界の株式インデックス一本選び積み立てればいい。経済見通しもいりません。瞬時の判断もいりません。複雑な投資理論もいりません。ただ続ければいい。でも、それが結構、難しいところです。そのためにも投資方針書をきちんと作るのがよいと思います。
ホンモノのプロの金融商品の販売をしないFIWA®のようなアドバイザーを活用すれば、すごく効率がいいと思います。自分の将来のための資金である退職後の資金が流出することは、無駄なことです。アドバイザーは、儲かる銘柄を教えてくれることよりも、ディフェンシブなこと、損をしないですむことをきちんとやって、合理的なリターンをしっかりとることを教えていくことだと思います。
講演では人生の3つのステージについて、また、お金の現実を知ること。資産運用の六つの階梯について、資産運用の支える4本の柱の説明。最後に本多静六先生の含蓄に富んだ言葉をご紹介いただきました。