【Vol.236】岡本 和久講演

しあわせ持ちへのロードマップ~お金と心

講演 岡本 和久 CFA, FIWA
レポーター 赤堀 薫里

岡本和久

お金や投資について勉強することは、「ご縁のネットワークの中で、どのように生きていくことがいいのか」を学ぶことにつながります。意識の拡大は、瞑想などの静寂な時間をもつ習慣が大切です。お金のことを学び、意識が拡大することで、資産運用の成功につながります。

ライフプランから始まり資産形成、資産活用、資産運用の応用編、投資方針書とお話してきました。今日はお金と心。最終回です。

心の面。意識をいかに時間軸、空間軸で広げていくのか。今、自分という小さな箱から出て永遠の未来、世の中全体に意識を広げていくことが必要だということです。

一歩ずつ広い意識の中に自分の思考の範囲を広げていく。投資で言えば、空間軸とは分散投資であり、時間軸は長期積立と継続です。それは世界株の長期投資という結論になります。

今、ウクライナの問題で世界全体が非常に苦しい状態になっていますが、我々みんながご縁のネットワークでつながっている。そのうちの一つが分断されると、非常に大きなマイナスがいろいろな分野に出てくる、つまり、みんな、つながっているということです。

投資とは時間を味方につけること。それは、つまりどう生きるのかということです。結局お金や投資のことを勉強していくということは、「ご縁のネットワークの中で、どのように生きていくのがいいのか」を学ぶことにつながっていくわけです。

大事なことは、意識の拡大、そのために必要なことは。毎日、短くても瞑想などの静寂な時間をもつ習慣。お金のことを学ぶ⇒意識が拡大する⇒資産運用の成功につながる。資産運用の成功つながることによってお金と心、物心両面の幸せを得ることができる。これが200%の『しあわせ持ち』です。心とお金、両方が満ち足りた、200%のしあわせ持ちになるということになります。

私は瞑想を30年くらいしています。当時、資産運用会社の社長をやっていたので、すごく忙しく大変でした。瞑想も大事だけど、実生活と心の静寂を両立するようなことはないかと考えていた時、たまたま本屋で手にした本が、マハリシ・マヘーシュ・ヨーギーの本でした。この本には、『内側の精神性と外側の物質的人生、その二つが統合された人生があります。外側の世界を楽しみながら、なおかつ至福意識を維持していることができる。そのような人生です。それは人生の200%の価値です』とあったのです。ちょうど、私は物心両面での200%の人生ということを考え続けていたので、『これだ』と思い、それから超越瞑想を始めました。

日々、我々は生きていると刺激がどんどん来るため、心にいろいろな波が立ちます。でもその刺激は長期的な視野、もしくは全体的な視野で見るとだんだん小さくなってくる。日々起きる出来事、それに伴いやってくる想念は非常に波立ちが大きいですけど、その一番奥にある想念の源は、長期的でありかつ全体的であり、そんなに大きく動くものではない。

この世界はまさに投資と同じです。個別銘柄、短期の売買をしていると、非常に波立ちが大きい。でもとにかく長期投資を分散して行う。すると結論は世界株全体を長期保有しておけばいいということにいきます。それは私が提唱している75文字のDIY資産運用です。『全世界の株式インデックス投信をできるだけ若いうちから、毎月定期的に一定比率を積立投資する。徐々に金額を増やしつつ、それをリタイアするまで絶対にやめない』、これが75文字の資産運用。私が提唱している誰でもできるDIY資産運用です。

I-O方程式

I-Oの方程式について話します。私の会社はI-Oウェルスアドバイザーズです。I=インサイド。ウェルス、内側の富。O=アウトサイド・ウェルス、外側の富。外側の富は概して金銭に換算されます。金銭1円に対してどれくらいの幸福感があるのか。1円あたりの幸福感、つまり価値観ということでこれがI=内側の富になります。Vは価値観で、これはまさにその人の品格になるわけです。「I=O×V」、これをI-Oの方程式と私は名づけています。Oである資産がだんだん増えていくに従って、Vである品格が下がっていく人がいます。そうすると、いくらお金が増えても、幸福感が増えていかない。逆に言えば、Oがどんどん上がっていくにしたがって品格が上がっていく人は、内側の富もどんどん増えていくということになります。

仏教的には蓄財は良いことです。労働で財を得てそれを増やす。ブッタの財産3分法。金利は借りたときの恩返し。まっすぐ前を向いて進め。犀の角のようにすすめ。老荘思想は、「急がない」「欲張らない」「争わない」「考えすぎない」、他にもたくさんありますが、投資の観点から重要なことはこの4点だと思います。

そして和心。「和」とは多様性と調和。永代とは時間的な制約がないこと。インデックス投資も結局、「知足」の運用です。欲張らない。積小為大、積立投資、もったいない、コストに注意。おかげさま、グローバル企業。我々みんな世界中の企業のおかげさまで生活ができている。このようなすごい良い感性を我々アジア人は持っています。それがもう少し欧米的な資産運用の中に浸透していき、ただできるだけ早く、できるだけたくさん、短期的な、しかも今の自分に凝り固まったものではない幅の広い心の広い投資が世界の中で広がっていくといいなと思っています。

やはりもっともっと意識を拡大して、物心ともに幸せな効果を得る。そのためには単にお金の面だけを見ているのではなくて、心の面を重視していくということが大事だと思います。

講演では、仏教のお金の考え方や、日本の商人道、代表的なエドノミストの紹介。また、アジア的智慧と資産運用の解説。最後にベンジャミン・グレアム、ジョン・バーウィリアムズ、ピーター・リンチ、バフェット、竹田和平さん等の智慧の言葉をご紹介いただきました。