【Vol.231】しあわせ持ちへのロードマップ Part 1:ライフプラン作りはトップダウン

講演 岡本 和久

岡本和久

自分の中にあるビジョンに沿ったロードマップを見つけ、それに合わせたライフプランを作ることが大切です。ライフプランとは自分探し。マネープランはあくまでもライフプランの一部です。そして人生の伴走者であるアドバイザーと相談者との共同作業の内容とは何か。

ライフプランというと、『無駄な保険をやめましょう』『年金がどうなる?』と考えてしまいます。実はそれはマネープランであり、マネープランはライフプランのごく一部です。その『ライフプランをどのように考えるのか』は、非常に大きな問題です。

『ライフプランはなんですか?』と聞かれてすらすらと答えることができる人は心配ないでしょう。多くの人はわからない。そういう方が、どのようにして自分のライフプランを見つけていくのか、自分の人生の目的みたいなものをどのように探っていくことができるのか、そんなヒントを、今回お話したいなと思います。

自分の気持ちの中で、「このようになりたい」というものを発掘して、それにあわせてライフプランがあり、その中でマネープランをどう考えるのか、と考えるのが本来だと思います。そういう意味ではまずトップダウンの最初はライフプラン。自分がどういう自分になりたいのか。それを見つめてみることが大事なのではないのか。やはりひとりの人間のビジョンに沿ったものにならなくてはいけない。

最初はビッグピクチャーです。現状があって、自分がなりたい本当の自分はどういうものなのか、ある程度つかんでみる。この過程で何をしていくのか。それがロードマップになるわけです。人生の目的とは、お金持ちになるわけでもないし、出世をするためでもない。「しあわせ持ちになる」ことです。みんなしあわせになりたいという大きな目的を持っています。

では自分にとって何がしあわせなのか?それを知ることが必要です。それを知る方法は「祈り」だと思います。私自身は特定の宗教の信者でも信仰者でもありません。ただ、自分の体験で思うことをお話します。私自身も毎日お祈りをします。祈りというのはとても大切なことだと感じます。

ライフプランとは、自分探し、自分を見つめることから始まると思います。お祈りの内容を考えてみます。最初は自己利益的な祈りがすごく大きくても、だんだん身近な人のため、所属する組織のため、友達のため、知り合いのため、空間軸がだんだん伸びていく。今だけでなく、少し先のためだと時間軸も伸びる。みんなのため、未来のためのお祈りへと、ある意味進化をしていくわけです。やはり自利を離れた祈りというのが本当に大事です。自分と離れた祈りを進めていくと、だんだん自分自身の中に感謝の気持ちが生まれてくる。

自分史を書く。無意識の自分は、どのようになりたい自分に向かって引き寄せられているのか。そして六つの富(心身の健康、家族・愛する存在、友達・交友関係、楽しみ・趣味、社会貢献、金融資産)のバランスを保ちながら自分のライフ・ミッションに向かってどのように生きていったらいいのか。

二宮尊德先生がおっしゃる『報徳』という言葉を考えてみてください。天の徳、地の徳、人の徳によって生かされている自分。これをよく理解して、「おかげさま」と「ありがとう」の気持ちで生きていく。

お金に関するライフプランの前に、このような人生を通じてのロードマップを一緒に探りながらいくことがアドバイザーの仕事の中で重要になってくるのではないでしょうか。本当の人生の伴走者になる。そういう意味で相談相手になってくれるという人がいたらいいですよね。正しい道筋を示してくれる。アドバイザーになるということは、本当に自身を磨いていかないといけないと思います。

アドバイザーと相談者の共同作業。今の自分のことばかり気になって、もやもや不安がある。自分でこのようになりたいというお祈りをして、本当に望む自分の姿を自分自身で摸索していく。自分がこのようになりたいと思っているものに対して、どういう生き方をして近づこうとしているのか。それは無意識にしているケースがすごく多いです。

あとは、六つの富のバランスをチェック。これからの人生のステージを考えていく。これから自分が人生終わるまでどのようにして生きたいのか。その中で特にこれから2~3年。どのようなことに注力していきたいのか。そして最後にそれを実現するための現在の資産、負債、収入、支出の確認をする。ここまでがライフプラン的なステージですが、次は運用にだんだん入っていきます。退職後の資産形成、コアポートフォリオ。DIY資産形成、資産運用の投資方針書を作る。そして投資銘柄の選択。口座開設。銘柄の選択は全世界のグローバルな株式インデックス、一銘柄でいいわけです。

そして積立投資を開始する。アドバイザーは相場が大きく下げてしまって相談者が不安になったら癒しを与えてあげる。ポスト定年に近づいてきたら六つの富の最終チェックをする。そして最後に年金や補助的な支援、予定される大きな支出。定年のライフプランを考える。

ポスト定年でプレリタイアメントの時期も大切です。お小遣い目的で働いている。退職金運用資金取り崩し計画を考える。ポストリタイアメントとなったら、これは完全に仕事を辞める。資金取崩し計画、超長期投資。そして贈与・相続プランニング。このような長い人生を通じての伴走してくれるのが本当のアドバイザーです。講演では、人生のステージの分割法や、働きの時代で大切な二つのことについて、また、資産運用の六つの階梯の説明、学び多き本多静六先生の処世訓を解説くださいました。