【Vol.271】FIWAサロイン塾講演より(講演)
「どう」投資をするか
特定非営利活動法人 みんなのお金のアドバイザー協会 代表理事 会長
ファイナンシャル・ヒーラー 兼 投資教育家
岡本 和久CFA
レポーター:赤堀 薫里
(この原稿は5月16日に開催されたFIWA®サロイン塾における岡本の講演を一部ご紹介するものです)
今回は前回の「何に」投資をするかに続けて、「どう」投資するか。5つの「 how to」です。それは長期に持つこと。そして分散すること、積み立てること、途中で止めないで継続すること、節約をする、つまり無駄なコストを掛けない。この5つが守られないと穴の開いたバケツみたいなものです。これがちゃんとできていないとせっかく得たパフォーマンスが全部コミッションやその他の費用で消えてしまうことになります。
資金の流出という意味で起こっていることの一つに、本当の意味のアドバイザーがなかなか日本に存在していないという現実があります。販売会社は、IFAも含めて強力な人材も知識もお金も持っています。 一方で生活者、消費者はそんなにたくさんの投資資金もないし経験もない。販売会社、IFAの人たちが、消費者生活者の人たちに「これはいいですよ」と言うと、なんとなくそのまま信じてしまいます。
言われて買ったお金が、アセットオーナーに渡る、年金だったら年金、投信だったら投信などの機関投資家に行って、運用会社で運用してもらい、そこで証券会社で売買の注文を出す。それが最終的には投資先企業に回るわけです。投資先企業がそのお金を使って、投資先企業が収益を生み出し、その一部が消費者や生活者へ戻ってくるというサイクルがあります。
しかし、生活者、消費者と販売会社やIFAとの間には大きな情報格差と資金力の差があります。そうすると、販売会社・IFAに説得され彼らの言うことを聞いてしまうことが多くなります。そこで生活者とこの販売会社の間に立つアドバイザーが必要なのではないかと考え、私は、現理事長の岩城さんらと一緒にNPO法人「みんなのお金のアドバイザー協会~FIWA」を設立しました。
販売サイドの言いなりになってしまうとライフプランと整合性のない無駄の多いアセットアロケーションになってしまう。リスク許容度を考慮していない投資対象の選択。消費者・生活者の個人的な状況もそれほどよく知っているわけではない。どのぐらいのリスクに耐えられる人かも知らない。そして、つい言われたものを買ってしまう。「買う方が悪い」といえばそうです。
しかし、そこでアドバイザーが一言「あなたのリスク許容度から言ってこれはちょっと危ないです」 と言ってあげる。長期投資に不適当な銘柄を選択してしまう。リターンに報われないリスクを取る。コストの高い投資対象の選択。コストが高いということは販売会社・IFAが儲かるということでもあるので、どうしてもそういうものを勧めたがる傾向がないとは言えない。それから不必要な回転売買と銘柄の入れ替え。回転売買してくれれば儲かるため、そうなりがちです。
また、相場の乱高下に心が乱されて投資方針と異なる行動を取ってしまう。「アメリカが大幅に下がった、大変だ、売らなくては」、生活者は衝動的に動いてしまう。そこにアドバイザーが間に入って、「いやこういうことはよくあるから大丈夫です。こういう安い時こそ積立のいいチャンスです。安いコストでたくさんの口数を買えますよ」と、ひとこと言ってあげれば全く変わってきます。
アメリカの調査で、投信会社のバンガードが、「アドバイザー・アルファ」ということについて言っています。結論からいうと適切なアドバイザーの採用によって約3%の追加リターンを得ることができる。また、γ(ガンマ)、α(アルファ)とβ(ベータ)ということも言われている。αというのは市場平均以上のプラスα。βとていうのは市場平均。資産の配分と引き出し順位。全資産での資産配分。終身年金の活用。動的引き出し戦略。負債と考慮した最適化など、これらで年間1.59% のリターンに相当する、と言っています。
やはり間にアドバイザーが一枚かむことによって、非常に大きな収益を確保することができます。金融商品の販売者、セールスとアドバイザーは違う職業です。セールスはセールスで非常に価値のある仕事です。しかしアドバイザーとは異なる仕事です。日本ではなぜかそれがごっちゃになってしまっている。
私も長年アメリカにいてセールスとアドバイザーの関係など見てきましたが、本当にアドバイザーの人は、アドバイスに特化しています。商品は売らない。私は彼らに「日本株は今こういう状態ですよ。こういう銘柄も注目を浴びていますよ」というような話をすると、彼らは、自分のお客にそれが合っているかどうかを精査して、それを買うべきか買わないべきかアドバイスします。そういう意味でアドバイザーは、お客様の人生の伴走者です。人生を通じての伴走者。「今ちょっと飛ばしすぎている」とか、「少しペースを落とした方がいいですよ」、「道を間違えてはいけないよ」というような助言をする。
アドバイザーは同時に非常に幅広い分野のアドバイスを与える。走っている本人が見えなくなっているいろいろなものを教えてあげる。例えば「子供の大学はどこがいいだろうか」、そういう相談にも乗ってあげる。「今度、家族旅行に行くんだけどどこが楽しそうか?」というような色々な相談に乗ってくれる人です。
それだけに人間力はすごく必要とされている仕事です。一流のアドバイザーになってくると何十年、何世代に渡って一つのファミリーに仕えていることもあります。ライフ・プランと整合性のあるインベストメント・プランをお客様と共に策定する。相場のさまざまな局面において適切な行動を指南する。「大幅安した。トランプさんでどうなるんだろうか?」と思った時に適切な行動を指南してあげる。お客様によって全部、助言の内容は変わってくるはずです。適切なアドバイザーを採用することで投資のリターン向上とコスト削減効果は非常に大きいのです。
講演では、長期・分散・積立・継続・節約の重要性についての説明と、75文字のDIY資産形成、75文字のDYI資産活用について解説くださいました。
講演当日の動画は以下のサイトからごらんいただけます。
https://youtu.be/HfSX5Y7KBnQ?si=jtCR7jzGCUp_qDW7
(文責FIWA®)