【Vol.267】FIWAサロイン塾講演より(講演2)
投機、投資、資産運用はどう違う
特定非営利活動法人 みんなのお金のアドバイザー協会 代表理事 会長
ファイナンシャル・ヒーラー 兼 投資教育家
岡本 和久CFA
レポーター:赤堀 薫里
以下の原稿は2025年1月19日に開催されたFIWA®サロイン塾における岡本の講演に加筆したものです。
投機、投資、資産運用
投資のイメージが悪いのは、多くの人が「投資」と「投機」を混同しているからです。「投機」は偶然性に賭けるだけのもの。さいころの目を当てる、コインの裏表を当てるなどがあります。結果に法則性はなく、また結果をコントロールすることもできません。
「投資」は文字通り資金を投げることです。どこに投げるかというと、現在から将来にわたる経済活動に投げ入れるのです。経済活動は人間が行っているものです。ですから完全に法則性があるわけではありません。しかし、まったくの偶然性に賭けているわけでもありません。投資は、ある程度の法則性があり、ある程度、結果をコントロールすることもできるのです。
投資にも2種類あります。短期投資と長期投資です。短期投資は、株式投資でいえば株価という価格を対象にして、売買でもうけようというものです。長期投資は、資金を投じる対象が企業です。そして、売買するのではなく、保有することで企業が成長するとともに資産を増やそうというものです。企業の価値は少しずつ時間をかけて増加するものです。ですから時間をかけてじっと自分の資産の価値が増えていくのを待つ、それが長期投資です。つまり、投資の時間軸と空間軸は長く広いのです。
ところで、資産運用という言葉もあります。専門家といわれる人でも投資と資産運用を同じ意味で使っている人がいますが、私はこれらを明確に分けるべきだと思っています。例えば、株価が100円の株式を1000株買えば10万円の投資になります。これを10年保有したら10倍の1000円になったとしましょう。売却すれば100万円です。これは長期投資としては大成功です。しかし、それで退職後の生活が安泰かといえば疑問です。
資産運用で重要なのは、ある銘柄がもうかったとか損したということではなく、資産全体の価値がどうなっているかです。あくまで資産全体が自分の将来を支えるという目的に向かって成長しているかどうかという点が重要なのです。資産全体を対象として、人生を通じて資産を管理していくのが資産運用です。ですから英語では資産運用をアセット(資産)マネジメント(管理)といいます。資産運用では個別の投資対象の損得は二義的な意味しかありません。
資産運用にも資産形成と資産活用があります。資産形成というのは、就業中の人が給料の一部を退職後のために運用していくことを意味します。資産活用は、恒常的に収入より支出の方が大きくなった人が、できるだけ対空飛行時間が延びるように資金の管理をしていくことです。
日本では、「トーシ」という言葉が投機か短期投資だけを意味することが多いようです。なぜでしょうか?80年代ぐらいまでは日本経済もそれなりに成長していました。人口も増加していました。社会保障制度もしっかりしており、年功序列、終身雇用の制度などもありました。ですから、将来の自分を今の自分が支えるという発想はあまりなくてもよかったのです。
人生を通じて資産を運用したり、本当に好きな企業の長期的な株主になって応援したりするというような発想があまりなかったのです。今、生活者が本当に必要とするのは「人生を通じての資産運用」であることを確認しておきたいと思います。
私が推奨する生活者のための資産運用法
私が推奨する投資法は、相場観も、銘柄選択能力も、経済予測も、難しい理論もいりません。だから誰でもできるのです。目先の株価変動に超然としていられるのです。売買をする必要もなく、ただ決めた金額を毎月投資するだけ。だから長く続けられるのです。
でも現実は、始めることより続けることの方がずっと難しいのです。ご存じの方も多いと思いますが、かの有名なウォレン・バフェットさんは以下のようにおっしゃっています。
「涯を通じた投資で成功をするためには、飛びぬけたIQも、非凡なビジネス・センスも、インサイダー情報もいらない。ただ、必要とされるのは、投資判断のための健全で知的なフレームワークと、感情のブレがそのフレームワークを破壊しないように心がけることだけである。」
当塾ではそのフレームワークを皆さんにお伝えしていきたいと思っています。(バックナンバーはYouTube「クラブ・インベストライフ」で無料公開されています。
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(文責FIWA®)





