【Vol.261】FIWAマンスリー・セミナーより(講演2)
講演 FIWA会長
岡本 和久 CFA, FIWA®
レポーター 赤堀 薫里
一生持ち続けられる投資信託を探す
今日は、一生持ち続けられる投資信託を探す、要するに売買する必要のない投資信託の見つけ方についてお話をします。
一切売買しないで、ずっと持っていても常にそこそこのいいリターンが得られる。相場感がいらない。銘柄、選択能力もいらない。経済見通しもいらない。情報ほとんどいらないけれど、一つ持っていれば足りる。それがグローバルなインデックスファンドです。
全世界の株式に投資するインデックスファンドは、オートリバランス機能があります。時価総額加重で指数が構成されているということは、あるセクターが大きく成長していくとその部分の持ち分が自然に増えていく。例えば120年ぐらい前までの中国は非常に小さかったけれど、その後BRICs等の時代がきて中国が世界の中で経済力が非常に増えていき、マーケットの中でも大きくなっていった。グローバルなインデックスファンドを持っていると、自然にその中で中国の比率が増えていきます。今、中国は非常に苦しく小さくなっていった。これはまた自然に小さくなっているわけです。
このようにいちいち考えたりしなくても、自動的にマーケットに参加している人たちがみんなで考えていることをそのままパクってやっていくことができる。そういう意味ではつまらないという人ももちろんいます。それはそれでいいと思いますが、あまり投資のことは考えないけれど、退職後のことも心配だし、何か準備をしておきたいという人にとっては、このようなインデックスファンドは非常に有益だと思います。
日本では6000本ぐらいの公募株式投資信託があります。相場の動きに惑わされないで、ただ持っていれば自動リバランス機能でいいところのものがだんだん増えていくだけのことを狙うのであれば、この中から1本見つけてきて、それを満たすものを買えばいい。
とにかくできるだけ幅広く分散されている。日本も含めて全世界を投資の対象として、時価総額加重であること。為替はヘッジなしであること。為替ヘッジをつけないでとにかく全ての通貨で表示された企業の株式を保有していればいいわけです。また、これから重要になってくるのはファンドの閉鎖リスクが少ないこと。長期で見れば金融恐慌はいつか必ず来ます。その時にこんなに儲からないならやめてしまおうということが必ず出てくるという問題です。だから金融市場動向に左右されないで、低コストで安定性があること。
投信会社として運用する側から見れば、低コストは非常に経営上難しい部分があるけれど、利用者側から見れば、安い方がいいに決まっています。そのために低コストであっても規模が大きく、それが企業にとっても大切なファンドであれば、持続性が担保できると思います。
よく長期の資産運用で大事なことは長期・分散・積立だと言っていますが、私はやはりそれだけでは足りない。長期・分散・積立、これは一緒ですけれど追加の第一は継続です。途中で休まない、止めない。相場が悪くなりだすと、必ず「休むも相場だ」と言ってしばらく止める人がいます。しかし、値段が下がっているときに積立てているからこそ、値上がりしたときに大きな利益が出ます。2007年からずっと積立投資をしていて、すぐにサブプライムローンの問題が起こったり、リーマンショックが起こったり、世界的な金融危機が何回か起こりました。その間ずっと積立てでやってきた人。今は最高値近くまで戻ってきています。
あの低迷時期に積立てを続けた人はすごく儲かったのです。ざっくりと言えば毎月1万円ずつ投資していたとして、今200万円投資をしたことになりますが、時価で550万円ぐらいになっている。やはりあの低迷期が本当に大きなバネになっています。
もう一つは資産の流出の防止。いろんな流出があります。信託報酬や販売手数料よりもはるかに大きいものがあります。そういうものをきちんと押さえていく。これはアドバイザーという人たちの役割になると思います。
インベストメント・チェーンというものがよく言われます。消費者、生活者が投資信託を買います。この買った投資信託のお金は、アセットオーナー、これは年金や投資顧問会社、あるいは投資信託の会社にいくわけです。その運用会社は証券会社を通じて売買の執行をする。売買の執行をすると投資した先の企業を保有するわけですよね。その投資先企業がみんなから集まったお金を使って世の中のためになる仕事をして、そしてみんなから感謝をされて、そこに利益が生まれる。その利益が消費者のところに還元されて投資収益となるというように非常に美しい姿なのです。
でも実際にはこの販売会社と消費者の間に非常に大きな情報格差があります。利益相反もある。消費者、生活者はできるだけ儲けたいので、販売会社やIFA等の言うこと聞いてしまいます。だけど実は、非常に高いコストを払ってサービスを買っている可能性もあります。インベストメント・チェーンの繋がりは、全部契約関係です。契約関係であるということは、お互いの利害が均等でなければいけない。だけどこの生活者、消費者と販売会社、あるいはIFA等との間は、とても均等とは言えないような状態にある。これを修正していく役割として、アドバイザーというのが非常に重要になってきていると思います。
講演では、資産運用関連業務、分散化と専門家について、投資信託の情報源の見方や、投資信託協会のサイトを使って実際にファンドを検索する方法を説明。最後にアドバイザーの役割について解説いただきました。