【Vol.259】FIWAマンスリー・セミナーより(講演2)

講演 FIWA会長
岡本 和久 CFA, FIWA®
レポーター 赤堀 薫里

「しあわせ持ち人生のためのライフプランを考えよう」

Okamoto 20238a

ライフプランということについてお話をしたいと思います。

ライフプランは、人生全体に関わるような非常に大きなプランであり、その中の一部としてマネープランがある。そのマネープランの中の一部としてインベストメントプラン、投資方針が入ってくる。そういうきちんとしたものがないといけない。人生を通じてのライフプラン。何のために生きているのかということを自分自身で少し考えてみる必要があると思います。要するに生きている目的、それは、自分に与えられた時間をどのように使うのか、どのように生きるのか。要するに時間という資産をどのように投資するかという、時間の投資プランみたいなものがあると思います。

人生の目的は、しあわせ持ちになること。お金持ちになることでもなければ出世することでも、有名になることでもなくて、しあわせになるのが我々生きている目的です。

そのために自分が何を望んでいるのかということをよく考える必要があります。その一つの方法が「お祈り」だと思います。毎日短くてもいい。どういう信仰でもいいけれど、とにかく祈る。「どのようになりたいのか」をよく考える。そうすると最初は、「昨日、買った株が今日上がりますように!」というようなものから始まります。でもだんだん家族のために、友人のために、会社のために、みんなのために、そして今だけじゃなくて、未来のために・・・。自利を離れた祈りに本当に到達したときに、その祈りが達成されるのだと、そのようなことをおっしゃる方もいました。

バランスの取れた6つの「しあわせ資産」。以前は「6つの富(ふ)」と言っていましたが、「しあわせ資産」と変えました。健康、愛する存在、交友関係、楽しみ、社会貢献、そして金融資産。金融資産、お金は自分のしあわせ感の中の一つの要素でしかないということです。だけど、みんなやはりお金が一番重要だ!こいつを増やせば、あとのものは自然についてくるというような勘違いがあります。しかし、そうではなくて、全体のバランスが大事なのです。そしてこの6つを「しあわせ資産」と呼びます。

仕事はこの中で何に相当するかというと、お金のためでももちろんありますが、社会貢献であり、自分自身の楽しみでもあります。お金、社会貢献、楽しみの合体したものだと思います。

人生3つのステージは「学びの時代」、「働きの時代」、「遊びの時代」と続きます。それではこの3つのステージで6つの「しあわせ資産」をどうやって大きくしていくか。これが我々の生き方の基本です。この中でお金だけ増やそうとしてもしょうがないし、楽しみだけでもしょうがない。やはり全体が、バランスよく大きく育っていくってことが大事です。

その中で学びの時代は、人的資産形成の時期です。自分自身の人格を形成して、働きの時代にはその人格、知識や、健康などの6つの資産、それ全体を活用して、社会全体を良くしていくという社会資産を形成していく時期です。そして、最後の遊びの時代。遊びの時代とは、自分が一番やりたいことをやっていると、それが世の中のためにもなるという、そういうものです。人的資産、自分が貢献してできた社会資産を活用しつつ、未来資産を形成しながら生きていくというのが遊びの時代です。そして、その未来資産は次の世代の人が活用し、人的資産の形成に使っていく、このようなチェーンがずっとあるのです。

学びの時代で大事なことは、わかる範囲で自分の先祖からどのような人生を送ってきたのかと自分が背負っている先祖からの思いなどを考えてみたりすることは良いことだと思います。そして、その上で、自分がされて嫌なことは絶対に人にはしないことを習慣づける。働きの時代に一番重要なことは、プロとして働くということ。そして、もう一つは、将来の自分は今の自分が支えるための準備をするということ。プロとして働くというのはもちろん、知識、経験が必要ですが、さらにその根底にあるプロとしての倫理観がとても大切です。

自分の仕事に誇りを持って世の中に尊敬されるような仕事をしていくことが本当に大事だと思います。それが職人としての誇りです。お客様に長期的に感謝されることをする。人格、正義感、こういうもの全部を含めてプロとして生きていく。将来の自分は今の自分が支える。これはいつも私が言っているようにそんな難しいことではない。要するに全世界の株式インデックス投資信託に積立投資をする。収入の一定金額、前の年の収入の何パーセントと決めておいてもいいと思います。要するに定額で前の年の年収の十二分の一を決めて投資をしていく、ということですね。

合法的業務遂行というのは、もちろんプロとして違法行為は絶対にしてはいけないけれど、さらにそれ以上にプロとしての倫理観と行動規範に基づく業務遂行をする。それが本当のプロであるということです。これは非常に重要なことだと思います。どちらかというと、今そういうものが軽視されているように思うので、そこは大きな問題だと思っています。

講演では本田静六先生の人生コース四分法や、資産運用と病気、心理の落とし穴についての説明、最後に老いに対して大変興味深い解説をいただきました。