【Vol.245】FIWA認定会員 投稿コーナー 2

私の業務紹介

寄稿:FIWA®認定准会員
岸野 浩二

Kishino

自己紹介

総合不動産会社に勤務中の1992年にAFP、外資系保険会社に転職後の1998年にCFP資格を取得、長年ライフプランに関わる仕事に携わる。現在は独立系FP会社のマーケティング・教育の責任者として社員約350名向けの研修やその先のお客様へのアドバイス、他業界とのタイアップなどの活動を行っています。趣味はスキー、鮎釣り。大阪市在住。


FIWAで現在では唯一の准会員として活動をしております。正会員の皆様とは違い、金融商品を取り扱うFP会社に勤務しており、取り扱っている金融商品は生命保険・損害保険・投資信託、宅地建物取引業もしております。FIWAでは正会員の皆様や各セミナーを通じて多くの学びを得て日頃の業務に活かすと共に、FIWAの理念でもある利益相反のない活動を心がけています。

最近の具体的な活動の一例を紹介させていただきます。ライフプランでタイアップしているハウスメーカー様からの依頼で1月に「住宅購入後の確定申告・ライフプランセミナー」を、昨年住宅購入された方々に行いました。セミナーの内容は、住宅ローン控除の仕組みや確定申告の方法、住宅ローン金利上昇リスクへの備え、住宅ローン返済計画に向けてのライフプランの作成などでしたが、そのセミナーに参加された女性Tさん(40歳代:年収600万円台)から住宅ローン控除の確定申告のサポート依頼を受け、弊社の担当FPとご自宅にお伺いしました。

確定申告はご自宅からe-Taxで行いましたが、住宅購入に際して住宅会社の営業マンから、優良な住宅は1000万円までは贈与税が非課税との説明を受け、800万円の贈与を親御様から受けていました。しかしいざ贈与税の申告をする際に確認すると、契約後にプラン変更をしたため、専有面積が240㎡を超えていることがわかり、住宅資金贈与の非課税の対象外ということが発覚しました。

そのため、親御様の資産状況を確認したうえでその場で相続時精算課税制度での申告に切り替え、令和3年9月までに住宅の契約をされていましたので住宅ローン控除は改正前の、借入残高の1%の13年間の特別特例取得にて申告しました。

申告通りのローン控除の還付があった後にライフプラン作成の依頼を受けました、ご主人様(40歳代:年収400万円台)の収入も安定しており、お子様3人の教育費や住宅ローン返済、老後の資金も全く問題はありませんでした。ご夫婦それぞれに万が一のときの残された家族のライフプランでは、遺族年金や死亡退職金、団体信用生命保険、預金の推移によりご夫婦ともに現在加入中の民間の死亡保険は計算上不要ということをお伝えしました。

しかし、ご主人様の死亡保障が全く無くなることに対してTさんは不安がありましたので、掛け捨てのご主人様の死亡保険は解約して死亡・三大疾病保障・投資信託機能を備えた貯蓄性のある保険へ、また、Tさんは団体信用生命保険で死亡やがんに対しての保障はありましたが、障害や介護で仕事ができなくなるリスクを感じていらっしゃいましたので、住宅ローンと同じく35年間、そのような状況になったときに障害年金で不足する住宅ローンや生活費分についての保障を今と同じ保険料で組み換えを行いました。

また親御様などご家族の状況を確認、親御様以外にもTさんの叔母(身体障害1級)が同居されていること、介護施設に祖母もいらっしゃることがわかりました。税法上の扶養関係を確認したところ誰も扶養されていないということで叔母、祖母の年金額などお伺いをさせていただききました。

その上で

  • 祖母が介護4でしたので障害者控除対象者認定書を市役所から取り寄せる
  • 扶養控除 ご主人様が叔母様と祖母を5年遡及して扶養に入れる
  • 障害者控除 ご主人様が叔母様と祖母の障害者控除を5年遡及の手続き。
  • 社会保険料控除 ご主人様が祖母の介護保険料・後期高齢者医療保険料を社会保険料控除に含める
  • 世帯分離 祖母と叔父様の住民票の世帯を分け、非課税世帯として介護費用等を軽減
  • 叔母様、祖母は非課税世帯として「限度額適用・標準負担額減額認定証」を申請することで入院時の医療費や食事代を軽減する

とご案内の上、税金の還付申告は税理士さんにお願いしましたが、約170万円の税金の還付となり、今後も状況が変わらなければ、T家の税金や社会保険料を大幅に軽減することが出来ます。

資産運用でお金を増やすことも重要ですが、アドバイスをする側が公的保障制度を理解することで民間の生命保険料や税金や社会保険料の支出を減らす提案も求められる時代です。

今後もFIWA®を通じて時代遅れにならない知識と情報を得ていきたいと思います。