【Vol.259】今月のひとこと
岡本 和久 CFA FIWA®
すべては生活者のために
このチャートはバブル後の最高値から最安値を通してほぼ今の水準にまで「行ってこい」の過程を示したものです。
見ているとすごく面白いのですが2003年のところの下に、インベストライフ創刊とあります。今から21年前、この年、ひとつの雑誌が発刊されたんですね。この仕掛け人というか、その牽引役になられたのが澤上さんだったわけです。
そして、それがインベストライフです。要するに、金融商品を一切、推奨しない、企業広告も取らない、完全に中立な形で、生活者のためのお金の役立つような内容の雑誌にしようということでスタートしました。私も編集委員に加えていただきました。
これが現在、FIWA仲間通信となっているインベストライフの誕生だったのです。その後2005年に私は外資系の年金運用の会社を退職しまして、そしてI-Oウェルス・アドバイザーズ(株)という投資教育の会社を創業しました。それから2年後2007年1月に投資ルネッサンス2007というイベントを開催しました。相場はインベストライフ創刊からこの時まで非常に良かったのです。小泉改革が進行して、みんなが少しずつ経済も相場も明るくなってきていた。みんな、今こそ投資の時代が来たと思っていたのですね。多分、ほとんどの人は、投資ではなく投機だったのでしょう。まだバブルの夢が少し残っていた。「夢よ、もう一度」というわけだったのです。ただ我々はね、やはり「売った、買った」じゃなくて、人生という長いタイム・フレームの中で積立投資をして少しずつ資金をきちんと将来のために増やしておかないといけませんよ、ということをこの投資ルネッサンスで主張したわけです。
ただ、いつもながら短期でワイワイと売買する人も多かった。そんなときアメリカでサブプライムの問題が深刻化したり、あるいはリーマンブラザーズが破綻したりという問題などが起こった。それで相場が大幅安したんですね。短期売買の人は損失を抱えて市場から退出して行った。マーケットはその後、少しずつ回復をしていきました。2019年に「いまこそ本物のアドバイザーを育成し、認定し、支援しよう」という志でFIWA®が創業され今日に至っているのです。
2005年に創業したI-Oウェルス・アドバイザーズ(株)は同年、インベストライフ発刊業務を行うことになりました。さらにFIWA®ができた時にはFIWA®に移管されました。何かずっと私につきまとっているみたいな、そういう感じがあるのですが、とにかく直近で258号まで続けています。
長期投資の雑誌でこんなに長く続いているのはまず一つもないんですよね。長期投資の雑誌は毎回同じような内容になってしまいますからね。書くことがなくなってしまいます。だからあんまりビジネスにならないのですよね。でも、まあ、何とかとにかく続けてきたということです。とにかく「すべては生活者のため」、プロではない、特殊な人たちではない、ごくごく普通の生活者のために役に立つような雑誌にしようということでやっています。
このチャートを見てください。例えば、2007年1月の投資ルネッサンスのところに積立投資を始めた。ずっと毎月定額で1万円を積み立てていくと、こういうふうにオレンジ色の直線みたいに上がっているのですよね。だけど、暴落局面が真ん中辺りにあったために、その時は同じ金額を投資しても買える口数が多いわけです。
そうすると、結果としては積み立てた投資金額は200万円なんだけど、実際の時価資産額は500万円を超えているということなんです。要するに、下げ相場局面の中でとにかくずっと続けてやっているということがすごく大事だということです。
インベストライフの精神の基本は「すべては生活者のために」ということです。運営主体は変ってもこの基本精神は変らないで受け継がれている。金融商品の販売はしない。個別銘柄の記事は推奨も掲載もしない。販売とは一切切り離されたアドバイスに特化したメディアです。アドバイスって要するに生活者の方々にためになるお話です。それが職業として成立する。それを目的としてこの2つの基本、金融商品を売らない、本当に生活者に役立つアドバイスを提供する、これは21年前からずっと受け継がれた、これが我々の活動の一番原点にある部分です。
さわかみ投信などの生活者のための直販投資信託、投資教育会社のI-Oウェルス・アドバイザーズ(株)、そして、みんなのお金のアドバイザー協会~FIWA®、「すべては生活者のために」という精神が受け継がれています。2007年の投資ルネッサンス2007では、日本中から400人の方が集まりました。当時はまだネットもなかったですからね。
みんな銀座の会場に集まって、すごく盛り上がったイベントでした。そこで採択されたのが個人投資家宣言でした。今、金融経済教育推進機構も設立されて国家的な重要性を持つようになってきて、それからまたFDAlcoのように新しいビジネスモデルを模索して新しい組織が誕生していますが、みんなすべては生活者のためなんですよ。生活者のために我々は汗を流している。
目的は一つです。みんなが、普通の人たちが、生活者が豊かで幸せな人生を送れるためのその潮流を作るということです。さらに多くの組織とか団体とか企業などがこの波に乗ってくれればいいと思います。競合しようとは全く思っていないです。一緒にやろうよ、どんどん作って、どんどん一緒にやろうよ、そう思います。
それによって流れが加速していきます。どこが得するとか、どこが儲かるとか、そんなに狭い業界の話じゃないです。日本を良くしよう、日本の生活者を良くしよう、そのために我々は汗を流しているのです。今回のイベントでもできるだけ多くの方に気づきを得ていただければいいなと思っています。
個人投資家宣言
前文:私たちは幸福で自立的な生活と持続可能な良い社会づくりのため、クラブインベストライフの呼びかけのもと、本日全国から東京に集い、熱心な議論を行った。その結果、自立的な生活者の長期投資が、日本と界の未来を切り開くあるべき投資の本流であり大河であることを確認し、熱き心と高き志を持って次の五箇条を高らかに宣言する。
第一条:私たちは生活の一部として長期投資を学び実践する。
第二条:私たちは長期投資によって経済的自立と社会貢献を目指す。
第三条:私たちは良い社会づくりに貢献する企業を、投資によって応援する。
第四条:私たちは投資リターンに心の豊かさも求める。
第五条:私たちは急がず、焦らず、ゆったりと投資を行う。
2007年1月14日、東京銀座にて
クラブインベストライフ主催投資ルネッサンス2007参加者一同。
(岡本和久筆)
FIWA®からのお知らせ・セミナー予定
第226回 FIWA(R)マンスリー・セミナー
開催形式:On Line
担当:赤堀薫里
開催日時:2024年7月21日(日) 12:30~15:30
講演・講師:
(1) 岡本和久
「一生使える投資信託の選び方」(投信協会のファンド検索機能を使って)
(2) ビトウ・ファイナンシャル・サービス 代表取締役 尾藤峰男氏
「2024年バークシャー株主総会に見るバフェットの投資哲学と人生哲学」
備考: お申込みは開催日の三週間前より以下のサイトにて承ります
https://happymoney.stores.jp/
参加費: 3,300円
FIWAサムライズ勉強会サムライズ勉強会 #75
開催地: 東京
主催 担当:岩城みずほ
開催日: 8月9日(金)
開催時間: 19:00~20:45
会場: 教室とZoomによるハイブリット開催
講演: 「マンション価格高騰はバブルか? ~失敗しないためのマンション選択の知恵~」
講師: 龍谷大学経済学部教授 竹中正治(たけなか まさはる)氏
備考 主催: NPO法人みんなのお金のアドバイザー協会
お申込先:https://somerise.net/2024/07/05/2039/
第227回 FIWA(R)マンスリー・セミナー
開催形式: On Line
担当: 赤堀薫里
開催日時: 2024年8月18日(日) 12:30~15:30
講演・講師: 第11回 ハッピー・マネー®セミナー for ヤング・アダルト
①I-OWA 代表取締役 会長 岡本和久
「若者よ! 投資、仕事、人生を考えよう」
②明治大学商学部教授 I-OWA代表取締役社長 三和裕美子氏
③作家 板谷敏彦氏
「高橋是清の人生から学ぶ現在の日本の位置と日本人の生き方」
備考: お申込みは開催日の三週間前より以下のサイトにて承ります
https://happymoney.stores.jp/
第228回 FIWA®マンスリー・セミナー
開催形式: On Line
担当: 赤堀薫里
開催日時: 2024年9月15日(日) 12:30~15:30
講演・講師:
①岡本和久
「戦後の株式市場を俯瞰する」
②モーニング・スター イボットソン チーフ・インベストメント・オフィサー 小松原宰明氏
「計量モデルの使い方」
備考: お申込みは開催日の三週間前より以下のサイトにて承ります
参加費: 3,300円
https://happymoney.stores.jp
FIWA presents 「FIWAみんなのお金チャンネル(YouTube)」配信中
岡本和久のDIY資産運用講座など過去、現在の動画をご覧いただけます。
https://www.youtube.com/@fiwa8445
FIWA presents「マネーマネーマネーfor you」開催中
金融商品の販売にかかわらない独立系アドバイザーが集まっていNPO法人みんなのお金のアドバイザー協会(FIWA)で、新しくポッドキャスト配信を始めました。ポッドキャストとは、後からいつでも聞くことができるラジオのようなものです。今後はFIWA会員のゲストトークも予定しています。
パーソナリティは小屋と、キャサリンとナンシーの3人が務めています。お金に関するさまざまな気になることを楽しく語っています。40代の子育て中の3人が幅広くFIWAのことを知ってもらうために、頑張りたいと思います。よろしくお願いいたします。
ファイナンシャル・ヒーラーの雑談トーク
岡本和久が原則毎月曜日にSpotify Podcastで雑談をします。