【Vol.269】インベストライフ・アーカイブより

合計 214 歳が語る日本と世界

吉野 永之助氏、澤上 篤人氏、岡本 和久
インベストライフ 2015年1月号より


今から約10年前に行った座談会です。吉野さんは澤上さんや私よりずっと先輩。色々なことをたくさん教えていただいた方です。

吉野| 最近、ある企業のアニュアル・レポートの監修をしたんですけどね、読んでみると「株主」という言葉が120ページのレポートに一言もない。消費者向けの商品を作っている会社なんですけどね。とにかく、自分の言いたいことを言うので精いっぱい。ページが全部それで埋まっている。小さな字でね。「投資家様」という文字がまったくない。アメリカのアニュアル・レポートでは考えられないですね。真似しろとは言わないけれど、これはおかしい。「もっと投資家を意識した内容にしなければダメだ」とアドバイスしたんですけどね。いま、改革をしようとしている企業で、良い製品を出しているのでそれなりに消費者もつかんでいる。しかし、消費者が株主であるという意識はまったくない。ただ、「いいものを売りたい、しあわせを売りたい」そればっかり。わかりますけどね、その気持ちは。