【Vol.267】寄稿 尾藤峰男氏

私がバフェットから株式投資で教わったこと

尾藤 峰男氏


尾藤 峰男氏 プロフィール
尾藤
尾藤 峰男 氏

公認投資助言者(RIA)
びとうファイナンシャルサービス株式会社 代表取締役(設立2000年)
投資助言・代理業登録-関東財務局(金商)第905号

「米国CFA協会認定証券アナリスト」「CFP」「日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)」「1級FP技能士」の4つの最高難度の資格を持つ。金融機関と全く関係がない資産運用アドバイザーとして、投資助言料のみで個人の金融資産や退職金の運用助言・ライフプランニングサービスを提供する。グローバルな投資理論や外国株投資・国際分散投資に精通。日本経済新聞、週刊東洋経済、週刊エコノミスト、ダイヤモンドなどへ寄稿・コメント多数。日経CNBC、テレビ東京などにも登場。著書に「いまこそ始めよう 外国株投資入門」「バフェットの非常識な株主総会」。2014年より毎年、バークシャー・ハサウェイの株主総会に出席している(20年、21年はコロナで開催されず)。


-私がバフェットから株式投資で教わったこと-

 ウォーレン・バフェットからは、株式投資だけでなく、人生をいかに生きるかということについても、数限りなく教わったが、ここでは改めて、バフェットから株式投資で教わったことを振り返りたい。たくさんのことが思い浮かぶが、いま頭に強く残っているバフェットの教えを取り上げたい。

時間は価値

いかに時間を有効に使うか、人間の人生はここにかかっていると言える。誰にも時間は平等に与えられているが、それをいかに使うかは、人による。ここがポイントだ。のんべんだらりと、時間を無為に過ごすか、楽しければいいのか、日々時間を大切に、有効に使うかで、ほぼ人生は決まるといってよい。そして、「時間は価値がある」とすれば、長生きするほど、時間を多く持てる。バフェットの生涯のパートナー、マンガーは99歳で昨年亡くなった。バフェットは、94歳で、まだ現役だ。

複利を最大限に活かせ

バフェットはこういう。「できるだけくっつきやすい雪を、長い坂で転がせ」。最初は、小さい雪の塊も、くっつきやすい雪を、長い坂で転がせば、大きな雪だるまになる。バフェットは、このたとえで、複利効果を説いている。これはまさに、バフェット率いるバークシャー・ハサウェイの株価に通じる。1965年に10,000ドルをバークシャー株に投資していると、その後の10年で、33,000ドルになった。10年の長期投資で3.3倍になれば、大成功の投資だ。そこで十分と売る人もいるだろうが、そのまま持ち続けていると、2014年には1億8,225万ドルになっている。そこから、さらに10年持っていると、2024年末に、なんと5億4,900万ドルになり、この10年で3億6,675万ドルも増えた。当初の10年で増えた額23,000ドルと、50年後の10年の増えた額3億6675万ドルでは、16,000倍の違いだ。同じ10年で、である。これが、複利効果のすごさである。なお、この効果は、たまたまバークシャーだったからということではない。株式投資全般に通じる考え方であることを忘れてはならない。ただし、大事なこと。この効果を感じられる人は、ごく限られる。なぜなら、ほとんどの人が、この効果を感じられるほど、長く持ち続けないからだ。

投資する会社が、10年、20年成長し続けられるか

バフェットがいう長い坂とは、長期に持つことを意味するので、長く持つ間、会社が成長し続けられるかは、非常に大事なポイントだ。その意味からは、投資する前に、その会社が10年、20年伸び続けられるかを見極めることは、非常に重要だ。そもそも、人気になっているからとか、業績が大変よくなってきたからとかで、飛びつくのではないのだ。

質の良い会社を買う

バフェットは、最初は、シガー・バットといって、通りに落ちているタバコでも、1回や2回は吸えるというスタンスで、安物の株を探していたが(その最たるものがバークシャー)、マンガーの諭しもあり、質の良い会社をほどほどの価格で買うという方向に舵を切った。(ただし、まだ安物買いの癖は抜けきらないところもある)。このグッド・クオリティ(質が良い)というところが、さきほどの雪だるまでは、くっつきやすい雪のことなのだ。バフェットは、傘下のチョコレート会社、シーズキャンディを宝石と言っているが、まさに、大きな投資をしないでキャッシュを生み続ける、くっつきやすい雪なのである。

4つのバフェットから教わったことを書いたが、どうも言葉だけでは、うまく言い表せない。要するに、これらが皆、織りなされ、素晴らしい姿で見えてくるということだ。

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この記事は尾藤氏のメルマガ(2025/02/25)を尾藤氏の了解をいただき掲載しているものです。バックナンバーは以下でご覧いただけます。
https://www.bfsc.jp/mailmagazine

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