【Vol.257】FIWA会員 投稿コーナー
寄稿
益田 眞一, FIWA®
新会員紹介 益田 眞一 プロフィール
初めまして。FIWA®正会員に認定いただいた益田眞一と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
広島市に本社を置き、中国地方を発行エリアとしている地方紙の人事部門で、企業DC(確定拠出年金)の制度設計や運営に従事する傍ら、社員向けに継続投資教育の講師を務めております。社外では、日本FP協会広島支部幹事、企業年金連合会確定拠出年金小委員会委員、企業年金連絡協議会DC部会運営委員などの活動を通じて、ブラッシュアップ、自己研鑽を積む毎日です。また、3年前、広島県内の地場企業で、DB(確定給付企業年金)やDCなど企業年金の実務担当者を交えた自主勉強会「企業年金担当者連絡会」を立ち上げ、定期的に意見交換や情報共有を図っております。“仕事は楽しく!”をモットーにしています。
60歳定年を前に、常々「これまでのサラリーマン生活の中で培ってきた実務経験を生かし、これからは、好きなこと、やりたいこと、そして人のお役に立てること」―ただ、それだけの思いを励みや糧に頑張りたい。社内だけにとどまらず、自分自身の活動できる場や領域を少しでも広げていきたいーそう思っていました。
このたび、FIWA®正会員に認定いただき、心を新たにスタート台に立つ気持ちです。「人生まだまだ、これから!」との思いを強くしております。個人の資産形成のサポート役として、将来を担う「顧客本位のアドバイザー」に熱い共感と誇りを覚えています。
~新聞社へ営業部門で入社~
1984年、営業職(販売部門)で新聞社へ入社。配属先の主な仕事は、新聞の戸別配達を担う拠点の販売所の営業力アップやマネジメント管理。1カ月のうち半月以上は外勤業務で、選挙報道や号外対応では夜討ち朝駆けもしばしば。販売所は個人経営が多く、それぞれ個性の違う経営者目線に合わせた営業対応に心を砕く一方、ほのぼのとした家庭談義に胸を熱くすることもありました。新聞人として、少しは「人間力」を磨けたかなと思っています。
~企業年金の制度改革に着手~
2002年、異動により営業部門から一転、当時の厚生年金基金へ配属されました。年金は一からの勉強でした。初めて参加した金融機関主催の運用説明会では、専門用語がまるでわからず外国語のようでした。「足元」の意味がわからず、足元の黒い革靴を見つめました(笑)。
2000年から2003年にかけて、国内株式の大幅な下落に加え、退職給付会計、時価評価などの改革と相まって、企業年金という制度そのものの持続可能性が問われた状況でした。確定拠出年金法、確定給付企業年金法が相次いで制定され、所属先の厚生年金基金でも、2003年に代行返上、2004年には給付減額後、DBへ移行しました。企業型DCは2003年に退職一時金の一部から移行しました。度重なる経営陣への説明や労働組合執行部との交渉、受給者への対応など、波状的な業務が続く中で、悩み考える時間がないほど、怒涛の渦中に飛び込んだ思いがする日々でした。
~営業部門へカムバック後、DCをサポート~
企業年金の制度改革が一段落し、2007年に再び異動により営業部門へ配属されました。現場の第一線から離れ、管理職としての業務が多くなりました。新聞社では、将来の財務リスク回避のため、2014年にDBを、過去分を含めてDCへ全面移行する1回目の企業年金改革が発足。人事部から要請を受け、営業部門に所属したまま、労働組合への交渉や社員向け説明会などに奔走しました。2003年に始まった1回目の制度改革を知る社員も多く、社員目線で話す“コツ”の手応えをつかむことができたことが大きな収穫でした。233
~DC投資教育は内製化、社員の資産形成を支援~
DC継続投資教育では、社員目線にこだわり続け、「社員が今、聞きたいこと・知りたいことは何か」を常に念頭に置きながら、どのように工夫を凝らしたら社員へ伝わるか、試行錯誤の毎日です。社員は一般論や高度な投資理論などを望んでいません。自社なりにカスタマイズした資産形成の手法について情報提供が必要だと考えています。
セミナーのテーマ自体も、時代の流れにタイムリーに適応できるように変化し続けなくてはいけないのではと思っています。「伝える」ではダメで、「伝わる」ことができて初めて成果が得られると思っています。専門用語を一切使わないように心がけています。社員が聞き慣れない言葉によってDCアレルギー症状を起こさないよう、会社の風土に合った、わかりやすい日常語に置き換えています。
運用商品のラインナップは、社員の資産形成のエンジンとなる重要なポイントです。2018年の法改正がきっかけとなり、2021年・2021年の2年間にわたり、明らかに劣る運用実績や手数料の観点から見直し、除外・入れ替えを実施しました。社員は、会社が選んだ商品の中からしか自分で運用する商品を購入することができないからです。社員利益の最大化を図る観点から、会社の責任は重たいと実感しました。
~今後へつなげる思い~
毎年4月に迎える新入社員向け加入時教育を通じて、企業の新入社員は、入社直後、すぐにDCの運用商品を自分の判断で選ぶことになるため、学生のうちから幅広い基本的な金融知識を習得できる機会の提供が必要なのではと考えています。FIWA®の取り組みを通じて、少しでも実現できるよう努めていきたいと考えています。
資産運用立国実現プランの旗印のもとで、企業内の社員一人一人のファイナンシャル・ウエルビーイングを高めるとともに、個人向けには「顧客本位のアドバイザー」として、すそ野の広い金融リテラシーの向上に合わせ、生きがいの持てる資産形成ができるよう支援していきたいと思っています。
~竹内まりやさんの大ファン~
大学生のころから長年にわたり、竹内まりやさんのファンです。耳に入ってくるメロディには、いつも心が洗われる思いがしています。先日、デビュー45周年記念で「DENIM」の懐かしいアナロク盤(レコード盤)を購入、今、幸せな気分に浸っております。同アルバムに収められている曲の「人生の扉」の歌詞には、年齢を経ていく素晴らしさと人生への応援メッセージが随所に込められ、共感を覚えます。MVに映る「八ケ岳高原音楽堂」「樹齢2千年とも言われる山梨県實相寺の神代桜」はいつか訪れたい名所の一つ。あといくつの人生の扉を開けることができるか分かりませんが、扉を開けようかどうしようか迷ったときは、前に開いて進めて生きていけたら!そう思っております。