【Vol.255】FIWA理事 投稿コーナー

なぜ「学⽣が選ぶ福利厚⽣3.0」を⽴ち上げたのか 〜⼀般社団法⼈みんなの⾦融教育協会 (Financial Education Association)愛称 FiNA(フィナ)が⽬指すもの〜


寄稿
特定⾮営利法⼈みんなのお⾦のアドバイザー協会副理事⻑
⼀般社団法⼈みんなの⾦融教育協会代表理事
岩城 みずほ


 「まっとうな資産運⽤、資産形成を広げていくにはどうすればいいか」と模索する中で2023年12⽉8⽇に設⽴した「⼀般社団法⼈みんなの⾦融教育協会(Financial Education Association) 愛称 FiNA(フィナ)」と「学⽣が選ぶ福利厚⽣3.0」についてご紹介させていただきます。

■まっとうな資産運⽤、資産形成を広げたい

昨年7⽉、⾦融庁の幹部の⽅々と意⾒交換したことが始まりでした。資産所得倍増プラン第4の柱に関して、私は、「企業での投資教育のあり⽅について統合報告書に掲載を義務化してはどうか」とご提案しました。⾦融事業者の改⾰・努⼒は必須ですが、企業も、従業員に対し資産運⽤・資産形成の⽀援、運⽤体制、運⽤担当者のスキル向上等を積極的に⾏うことで従業員の経済的⾃由を実現するという社会的責任を果たすべきだと考えたのです。すると、「役所がガイドラインなどで企業に対して『上からやらせる』という従来⼿法では、外⾒・看板だけ『取り組んでいます』という形骸化、部分最適を⽣むことにならないか」 というご意⾒でした。確かに、と思いました。それでは、企業に⾃発的取り組みを促すためにはどうすればよいのか。

◼新しいカタチの福利厚⽣を

企業が払う「賃⾦」を労働への対価、「福利厚⽣費」は賃⾦以外の従業員や家族の⽣活の安定や労働環境の改善のための⽀出と考えます。福利厚⽣の変遷において、⾼度経済成⻑期からバブル期にかけての福利厚⽣は、社員住宅や保養施設を中⼼とする「ハコモノ」型でした。これを「福利厚⽣1.0」とします。 現在は、健康⽀援やスキルアップ⽀援、レジャー・スポーツジム割引等の「ヒトモノ」⽀援が主流です。これを「福利厚⽣2.0」とします。現状、利⽤する⼈、しない⼈がいて、福利厚⽣の意義・役割が曖昧になってきているように思います。では、今、特に若い世代はどのような福利厚⽣を求めているのでしょうか。 彼らに話を聞いてみると、強く⾦銭的な不安を持っていること、それを積極的に解消し、⾃らの⼈⽣を豊かに⾃由に⽣きたいと望んでいることがわかりました。経済的⾃由を得るためには、⾃分の稼ぐ⼒を最⼤化していくことがまず⼤切です。同時に、お⾦にも適切な場所で稼いでもらう資産運⽤が⼤きく寄与します。

  「資産所得倍増プラン」によって2024年からNISAは⼤きく改良されました。合理的な資産運⽤をするためのコストの低い投資信託も⽣まれています。決して夢物語ではなく、誰もが適切なマネーリテラシーを持ち、⻑期で資産運⽤を続けることで、豊かで安定した未来、経済的⾃由を⼿に⼊れることができるのです。私は、もれなく正しい資産運⽤の基本的な考え⽅を伝えたいと思いました。⼀⼈ひとりのキャリアプラン・ライフプランに合わせたマネープランにそって、⻑期的な資産形成を実⾏するためには、企業がサポートすることで実現することができます。これを新しい福利厚⽣としたらいいのではないか!と考えました。従業員の⼈⽣を⼤切にするための企業年⾦制度の運営・投資教育を福利厚⽣の柱とする「福利厚⽣3.0」。新しい福利厚⽣のかたちです。

 「福利厚⽣3.0」を広めるためには、未来の就職先を選ぶ学⽣のみなさんに、企業がどんな資産運⽤・資産形成の⽀援制度があり、また、運⽤体制や運⽤担当者のスキル向上にどう取り組んでいるのかなど、ひいては企業の福利厚⽣全般に関⼼を持っていただくとよいのではないかと思います。そのためには学⽣さんに、公的年⾦のこと、企業年⾦のこと、運⽤のことなどの知識を持ってもらうことが⼤切です。こうした活動を推進していこうと設⽴したのが「みんなの⾦融教育協会〜FiNA」です。

 ◼「学⽣が選ぶ福利厚⽣3.0」とは

私たち FiNA は、「学⽣が選ぶ福利厚⽣3.0」というサイトを⽴ち上げています。

FiNA | 一般社団法人みんなの金融教育協会

このサイトでは、学⽣のみなさんへの情報発信はもちろん、⼊社したらたちまち課せられる「企業型DC の運⽤商品の選択」に困らないために必要な資産運⽤リテラシーを⾝に付けていただくためのクイズやシミュレーションなども提供していきます。各⼤学での無料セミナーの開催、企業担当者と学⽣さんの対談なども⾏なってまいります。

 「クイズで学ぶ」は、Yes / Noで答えてもらい、解説を読んで理解を深めてもらうというものです。

第1弾は、「公的年⾦」についてです。学⽣さんたちとお話しする中で、公的年⾦についてほぼ知識を持っていない状況ということを再確認し、それゆえに将来への不安も⼤きいということが推察できましたので、公的年⾦を取り上げました。

 Q1 年⾦だけでは⽼後の⽣活費はまかなえないと思う?

 Q5 少⼦⾼齢化で私たち若い世代の将来負担は重くなり続けるのではないかと思う? など疑問や誤解をしやすい内容について解説しています

第2弾は現在制作中ですが、FIWA®岡本理事⻑にご協⼒いただき、「資産運⽤」についてです。

◼FiNA の活動について

私たちの活動の2本柱は、

  •  福利厚⽣3.0実現企業を増やすこと
  • 学⽣さんの⾦融や社会保障制度についてのリテラシー向上に寄与し、また⾃分にとってのベストな企業を選べるように中⽴的な⽴場で情報提供することです。

各⼤学での無料セミナーの開催は、まず進めていきたいことです。

⼤学や企業での投資教育等をしていただく講師は、FIWA®正会員×CFE3.0認定者(福利厚⽣3.0サーティファイドエキスパート)の⽅々で、昨年12⽉にスタートしたFIWA®認定「顧客本位のアドバイザー育成講座」のアドバンスコース終了者のみなさまが3⽉22⽇に誕⽣しますので、サイトでもご紹介していきます。

 FIWA®と協⼒して、顧客本位で質の⾼い活動を⾏なっていきたいと思っています。ぜひ、ご⽀援、ご協⼒よろしくお願い申し上げます。