【Vol.250】今月のひとこと

今月のひとこと

おかしいと感じたら声を上げることを恐れてはいけない

OkamotoKT

某芸能プロダクションの出来事が話題になっています。私はそれほど事件の内容も、その組織についてもよく知らないので断定的なことは言えません。被害者はもちろん気の毒なのですが、私の心の奥底では伝えられるような目にあわされていながら、「どうして誰も声を上げなかったのだろう」という疑問が消えないのです。人間としての尊厳を否定されるようなことが個人、または組織によって行われるのであれば、その組織から離れても声を上げる。自戒を込めて、自分の尊厳を第一に考えるべきではないかと思うのです。

これは芸能界の事だけでなく、すべての組織とその構成員に当てはまることです。誰だって安泰な企業に勤め安定した給料が欲しい。しかし、もし、それが不正なビジネスによって得ている収益ならそれはお客の犠牲で得ている報酬です。それでも多くの人が、今の状況を守るために声を上げない。それがないからいつまでたっても企業の不祥事が絶えないのだと思います。ナントカ・モーターとかナントカ保険などのケースだってなぜ誰ももっと早く声を上げないのか・・・。疑問を持ちつつ組織の命令だからと言って自殺された方もいます。散々、悩まれた末の結論でしょう。上司や仲間から「裏切者」とされることに耐えられなかったのかもしれません。

江戸時代、藩士にとって最も大切なのは藩の存続でした。そのためには何が起こってもあらゆる手段を講じて御家を守る。それが藩士としての正しい生き方だったのでしょう。(時代劇映画の見過ぎでしょうか?)しかし、今日は違います。明治維新の原動力になったのは多くの脱藩者だったことを想い出します。藩という枠から精神を解放したことで維新が実現したのでしょう。本当に企業を良くしようと思うなら勇気を持って行動することが絶対に必要です。

それで想い出すのが日系アメリカ人のフレッド・コレマツさんのことです。コレマツさんは1919年生まれの日系二世です。真珠湾攻撃で日系人約11,500人が強制収容所に入れられます。コレマツさんにはイタリア人移民のガールフレンドがいました。イタリアはアメリカの敵国なのに彼女は収容所に入れられないのです。彼は彼女を連れて逃亡します。しかし、捕まり有罪判決を受けます。

周りの日系人はみんな彼の行動を非難します。アメリカ政府の言うことをおとなしく聞いていれば早く収容所から出してもらえるだろう。お前の行動は迷惑行為だ、そんな批判の矢にさらされます。批判した人たちは、収容所に入れられているこの現状から早く解放されたいという思いが強かったのでしょう。もちろん、環境を考えればそれも無理はないと言えます。私だってそうだったかもしれない。彼は孤独な闘いを強いられる中、不当性に対し提訴するが判決は翻らず1945年、終戦まで収監される。

しかし、それでも彼は負けません。アメリカ生まれでアメリカ国籍の自分がどうして独立宣言にある「すべての人間は平等に造られている」、「不可侵・不可譲の自然権として『生命、自由、幸福の追求』の権利を持つ」という最も根本的な権利を与えられていないのか。独立宣言の精神に違反しているではないか。

彼は大戦後も人権保護活動に係ります。何十年も闘い続け、最後についにアメリカという国を動かすのです。1983年に有罪判決無効の判決が降り、1988年には連邦議会は被害者に正式謝罪、保証金、一人2万ドル支払われます。さらに1998年にはクリントン大統領よりコレマツさんに人権の正当性を訴え続けた人物として文民に対する最高位の勲章「大統領自由勲章」が授与されます。2005年に86歳で逝去。2010年、カリフォルニア州がコレマツの誕生日である1月30日を「フレッド・コレマツの日」と制定します。

日本の最近の政界、ビジネス界などの不祥事を見るにつけコレマツさんのことを想い出します。上司の命令だから、会社のためだから、自分の生活のためだから、不適切な行為でも行ってよいという理由にはなりません。そして、アメリカ政府の対応も素晴らしかった。いろいろ問題もある国ですが、それでも「おかしいことはおかしい」という指摘については自分に都合が悪くても改める。

何かおかしいと感じたら声を上げることを恐れてはいけない 

(フレッド・トヨサブロー・コレマツ)

おかしいことはおかしいと声を上げる、それでこそ世の中が良くなります。これは非常に大きな社会貢献です。コレマツさんの行動に比べれば会社で上司と議論することなどたやすいはずです。我々と同じ血をひく日本人のコレマツさんがアメリカ政府をついに動かしたのです。このような勇気によって組織は良くなるのです。日本では企業や組織の不祥事が目立つのは口を開く人が少ないからでしょう。コレマツさんは非常に強かった。私自身の自戒も込めてその強さ、勇気を考えさせられます。

(岡本和久筆)

特定非営利活動法人「みんなのお金のアドバイザー協会〜FIWA」

FIWA®からのお知らせ・セミナー予定

218回FIWA®マンスリー・セミナー

開催形式: On Line      
主催担当: 赤堀薫里
開催日時: 11月19日(日) 12:30~15:30
講演・講師:     
岡本 和久「ウォール街のランダムウォーカー」を読みとく第4回「ウォール街の歩き方~財産の健康管理、インフレ、ライフサイクル、三つのアプローチ」(全4回)
東京海上アセットマネジメント チーフストラテジスト平山 賢一氏「インフレ、日銀政策、ETFなど(仮)」
備考:  お申込みは開催日の三週間前より以下のサイトにて承ります
https://happymoney.stores.jp/
参加費: 3,300円

FIWA®セミナー FIWA® 設立4周年記念セミナー

開催地: 大阪  
主催: 担当:石津 史子・赤堀 薫里
開催日: 11月25日(土)           
開催時間:
講演会:14時~16時45分
懇親会:17時30分~19時30分(飲み放題)
会場: 教室開催・懇親会
天満橋ドーンセンター セミナー室2
講演: 「長期投資で幸せで豊かな人生にしよう!」
プログラム      
・「すべては生活者のために〜FIWA®4年間の歩みとこれから」 FIWA® 理事長 岡本和久
・「新NISAで始まる我が国の金融立国化」 FIWA®理事 中野 晴啓氏
・「求められる100歳まで安心のマネープランアドバイス〜コンサルテーションの現場から〜」岩城みずほ FIWA®副理事長
・質疑応答
会費:
・講演会 1,100円(税込)
・懇親会 4,000円(飲み放題・立食)
主催: NPO法人みんなのお金のアドバイザー協会
詳細: https://fiwa.or.jp/2023/08/01/4194/

219回FIWA®マンスリー・セミナー

開催形式: On Line      
主催担当: 赤堀薫里
開催日時: 12月17日(日) 12:30~15:30
講演・講師:     
岡本 和久「ウォール街のランダムウォーカー」を読みとく 第5回「兜町、散歩の仕方」(最終回)
コモンズ投信株式会社 代表取締役社長 兼 最高運用責任者 伊井 哲朗氏 
「世代を超える30年目線で歩み続ける(仮)」
備考:  お申込みは開催日の三週間前より以下のサイトにて承ります
https://happymoney.stores.jp/
参加費: 3,300円

220回FIWA®マンスリー・セミナー

開催形式: On Line      
主催担当: 赤堀薫里
開催日時: 2024年1月21日(日) 12:30~15:30
講演・講師:     
岡本 和久 名著「キャピタル」を読みとく
ブーケ・ド・フルーレット代表 馬渕 治好氏
「吉例:2024年、どうなる今年の世界の金融証券市場」
備考: お申込みは開催日の三週間前より以下のサイトにて承ります
https://happymoney.stores.jp/
参加費: 3,300円


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金融商品の販売にかかわらない独立系アドバイザーが集まっていNPO法人みんなのお金のアドバイザー協会(FIWA)で、新しくポッドキャスト配信を始めました。ポッドキャストとは、後からいつでも聞くことができるラジオのようなものです。今後はFIWA会員のゲストトークも予定しています。


パーソナリティは小屋と、キャサリンとナンシーの3人が務めています。お金に関するさまざまな気になることを楽しく語っています。40代の子育て中の3人が幅広くFIWAのことを知ってもらうために、頑張りたいと思います。よろしくお願いいたします。

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