【Vol.239】FIWA®理事リレー投稿

アドバイザーの提供できる価値とは

寄稿:FIWA®協会理事 高橋 忠寛

Takahashi

上智大学経済学部経済学科卒業後、東京三菱銀行(現在の三菱UFJ銀行)に入社。法人営業、個人富裕層を対象とする不動産関連融資や相続ビジネスを経験し、シティバンク銀行に転職。個人に対するコンサルティング業務に従事し、証券仲介や保険商品、住宅ローン・不動産投資ローンなど、幅広い個人向け金融商品を販売。高い営業実績を残し、社内全営業スタッフの上位約20名が任命されるリレーションシップマネージャーとして活動。2014年9月、株式会社リンクマネーコンサルティングを設立し独立。個人資産コンサルティングや金融教育ビジネスに取り組む。(投資助言代理業 関東財務局(金商)第2855号)


2022年6月にFIWA®理事に就任いたしました株式会社リンクマネーコンサルティングの高橋忠寛と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

最近、アドバイスビジネスに関心を持つ金融機関や金融商品仲介業者が増えています。営業活動で金融商品を売り込むビジネスからようやくアドバイスで付加価値を提供しようと意識が変化してきました。そこで、今回は私が2014年の独立開業以来、金融商品の販売に関わることなくアドバイスのみで事業を展開してきて実感している「アドバイザーが提供できる価値」についてお伝えします。

アドバイザーの提供できる価値には、すぐに実感してもらえる価値と時間がかかるものがあります。多くの人が期待するのはアドバイスに従って投資することによって、お金が増えることだと思いますが、運用成果という価値提供には時間がかかります。運用成果は短期的には運によるところも大きいからです。ギャンブルのような投資ではなく、合理的にリスクをコントロールすればするほど短期的に増やすことは難しくなります。従って、運用成果による価値を感じてもらうためには超長期の時間が必要です。

そして、継続的にサポートをするからこそ提供できる価値もあります。

必要な時期に必要な金額が確保できるように資金管理のサポートを行い、運用資産額をコントロールしたり、資産配分を調整していくことは、効率的に資産を活用し収益を確保することに繋がります。また、市場環境が大きく変化した際にも、お客様の資産状況や投資に対する考え方を把握しているからこそ迅速な提案が可能になり、アドバイザーとして大きな価値を提供できます。

一方で、すぐに実感してもらえる付加価値もあります。

分かりやすいのはコスト削減や節税効果です。同じような金融商品でもコストが10倍近く異なることはよくあります。大手金融機関が提案している金融商品や金融サービスと同じような機能を10分の1のコストで実現できることもあります。

また、税優遇制度を効率的に活用することで得られる節税メリットもすぐに違いを実感してもらうことが可能です。公的制度をしっかり理解し使いこなし、最適なアセットロケーション(資産配置)を実現できると節税によって多くの資金を手元に残すことができます。

資産運用によって期待できるリターンは不確実ですが、コスト削減と税負担の軽減は確実にリターンを改善します。

他にも、保険の適正化によって、過剰に加入されている保険料を削減できることも多くあります。将来家計のキャッシュフローを見える化することで不安解消や安心感という価値を実感していただけることもあります。

公的年金制度に不安を感じている方には具体的な年金シミュレーションを行い、「いつから」「いくら」年金がもらえるのかお伝えし、年金額を少しでも増やすための対策をお伝えします。また、保有している金融資産の中でどこまで投資していいのかご自身では判断できないお客様に対しては、リスク許容度を確認しながら個人に最適な資産運用プランを提案することで、個人資産全体を最適化する投資金額が決まることもあります。不動産投資と金融資産運用のバランスについての助言に価値を感じていただくこともあります。

以上のように短期間でも提供できる付加価値は数多くあります。

そして、このようなアドバイスの価値をしっかり理解してもらえれば、多くのお客様は喜んで相応の対価を払ってくれます。

日本では有料でアドバイスを受ける価値が広く認識されているとは言えない状況ですが、アドバイスの価値をしっかり伝える努力を続けていくことでアドバイザーが活躍できる社会が広がっていくと考えています。