【Vol.275】エクスパート・オピニオン 

Expert’s View:
子供たちにお金のことを教える ハッピー・マネー教室の20年

FIWA代表理事 会長
岡本 和久CFA

岡本 和久

(私はハッピー・マネー教室という子供向けの金銭教育を20年以上やっています。まだ大人向けにもお金や投資の話などほとんどされていないころでした。私自身、「何をどう教えるか」ということを考え散々、試行錯誤をしていました。

たまたまアメリカ人の友人のご縁であるアメリカの金銭教育用の玩具の紹介を受けその商品の輸入販売を始めました。それが「ピギーちゃんというぶたさんの形をした貯金箱」です。これで私の子供向けの金銭教育は大きく飛躍することができたのです。

ピギーちゃん。これは貯金箱ですが、単なる貯金箱ではなく、貯める、使う、譲る、増やすという穴が背中に開いて、胴体も4つの部屋に分かれている。胴体のそれぞれの部屋がそれぞれの足につながっていて、足からお金が取り出せるようになっています。こういうコンセプトを豚さんの貯金箱を使って子供たちが自然に学べるような教育玩具なんです。

この豚さん、アメリカのマネー・サビー・ジェネレーションという会社が開発したものです。2012年の7月にシカゴの彼らの会社を訪問して数日間か、彼らの仕事を見せてもらいました。そして販売権を得て日本でそれ以来、販売をしてきました。現在までのところ、日本で二万個のピギーちゃんを販売しました。

この豚さんですが、愛称は「ピギーちゃん」です。「ハッピー・マネー」も商標登録して日本では「ハッピー・マネーのピギーちゃん」として販売しています。

ピギーちゃんの背中には貯める(Save)、使う(Spend)、ゆずる(Donate)、ふやす(Invest)という穴が開いていています。胴体も四つの部屋に分かれそれぞれの部屋にたまったお金はそれぞれの脚から取り出せるようになっています。

ピギーちゃんがマネー教育に大きな効果があるのはこの貯金箱を使うことで子供たちの意識の時間軸と空間軸が広がることです。「使う」でうれしいのは今の自分です。「貯める」は本当は今、使いたいお金を使わずに我慢して、そして少し先に大きく貯まったお金で本当に欲しいものを買う。我慢のご褒美が大きな喜びになるわけです。「譲る」というのは寄付やボランティア活動などです。今、困っている人を助けるために自分のお金や時間、労働を譲るのです。みんなを笑顔にすると自分も笑顔になる。笑顔というご褒美を得られる。

「増やす」について少し詳しく説明します。今、お金が必要な人や会社があるとします。その人や会社に自分が持っているお金を使わせてあげる。その人は使わせてもらっているお金を、ビジネスの種にして育てる。植物を育てるように、土にまいて肥料をやったり、陽に当てたり、水をやったりして、長い時間をかけてビジネスを大きく育てます。

例えばビジネスをリンゴの木に例えてみましょう。何年も経ってリンゴ木は大きく育ちたくさんのリンゴがなる。そして、そのリンゴを販売して収益を得る。その収益の一部を最初にお金を出してくれた人に毎年、支払う。お金を出してくれた人を投資家、もらえるお金を配当金といいます。

お金を出した時はリンゴの木もまだ小さな種だったのが徐々に大きな木になりたくさんのリンゴがなるようになります。だからリンゴの木の価値も増加しています。大きな木から根のついた枝分かれしたものを「株」といいますよね。まさにこれが「株」なんです。

その子が大きくなって海外留学をするためにまとまったお金が必要になったとします。その場合にはこの子は自分がお金を出して、いまは大きくなったリンゴの木の持ち分を他の人に売ることができるわけです。その持ち分を表す「株」を持っていると、買った人はその元々の大きな木の一部を持っているわけですから、そこに実った果実を自分のものにすることができる。自分で収益を得るえることができる。

例えば留学資金のためにお金が必要ならその株を売ればいい。ただ、問題はその株を買ってくれる人を探さなければならない。そのためにあるのが証券市場というものです。世の中にその株を買いたい人がいる。売りたい人もいる。それぞれが注文を証券会社に出します。

証券会社に出された注文が株式市場に集められ売りと買いがマッチングするんです。売りたい人と買いたい人がいて値段が一致すれば取引が成立する。買いたい人が売りたい人より多ければ値段が上がる。逆なら下がる。これを可能にする場所が株式市場です。こういう仕組みになっているわけです。結局、最初に苗だった企業が大きく成長したら高く売れ、多くの利益を得ることができるということになるわけです。

株式市場では「株」を売ったり買ったりで儲かったり損したりという話が多いのですが本当の意味は今日お話したようなものです。つまり今、お金が必要な会社に使わせてあげる。「資」金を「投」げる、ずっと将来に向けて投げる。これが「投資」です。その会社は世の中のみんなが喜ぶような仕事をして株の価値を高くしてくれる。そして最初に買った人はそれを株式市場で売る。

だから大切なことは最初にどこに資金を投げるかということです。本当に長期にわたって世の中のためになる仕事をしている会社の株を買うのが良いのかというのはこういう理由によるものです。