【Vol.260】「行燈」ではなく「街灯」を

FIWA特別イベントを振り返って

NPOみんなのお金のアドバイザー協会 理事長
岩城みずほ


岩城 みずほ
理事長 岩城みずほ

「投資ルネッサンス 2007@銀座から17年の振り返り」の動画上映でスタートしたFIWA特別イベント。2つのパネルディスカッション「資産運用立国への歩みが始まった」「アドバイザーの重要性について」を行い、続いて懇親会と4時間15分にわたって開催いたしました。皆さまの素敵なお話をたくさん伺って、非常に心に残る良いイベントになりました。改めてご協力・ご参加いただきました120名もの皆さまに改めて心よりの感謝を申し上げます。ありがとうございました。

振り返れば、投資ルネッサンスから10年後の2017年。「顧客本位のアドバイザーを見える化し、育成するNPOを作りたい」と、多くの有識者の方々に協力をお願いして回っておりました。しかしながら、「よいことだけど時期尚早では」「日本では相談はタダだからビジネスとして成り立たせるのは難しいよね」となかなか火を灯すこともできず……。

けれども、岡本さんという強力な布陣を得てようやく火が灯り、そして2019年12月『NPOみんなのお金のアドバイザー協会〜FIWA』は設立の運びとなりました。創設メンバー4人で撮った写真は宝物ですね。

しかし、いざスタートいたしますと、「FPがFPをジャッジしている」「FP協会を敵に回すのか」等々、的外れなことを散々言われまして、気が付くと私は「孤立系FP」と異名を取るまでになっておりました(笑。

FIWAが標榜したのは、①だれが顧客本位のアドバイザーなのかを見える化すること ②質の高い顧客本位のアドバイザーを育成し、厳しい倫理規範、職業行為基準を設け、FIWAアドバイザーを認定すること ③生活者のみなさんに人生を通じてのお金との正しい付き合い方の知識を普及し、合理的・効果的な資産運用を実行していただくこと。併せてアドバイザーとの効果的・生産的な関係を構築できるよう啓蒙活動を行うことです。

アドバイザーという職業が日本に根付いていくためには、まず、生活者のみなさまにアドバイザーの価値をわかって頂かなければなりません。そのためには、私たちアドバイザーも、お金を払ってもアドバイスを受ける価値があるのだと思ってもらえる質の高いアドバイスをすることが重要です。

これは、業界のあり方を変えようという壮大な取り組みです。アドバイスがセールスツールとして使われている中で、その利益相反を指摘し、顧客本位からは程遠い姿であると言及したわけですから。面白くないと感じる方々が大勢いるのは当然のことでしょう。

新しいことを始めるの時には大きな摩擦が生じます。たとえその風がどれほど合理的であろうとも、新しい風によって既存の商売がやりにくくなるなど影響を被る人にとっては迷惑極まりないことです。当然抵抗勢力は生まれます。

しかし、ありがたいことに私の周りには、業界のあり方を変えようと新しい風を巻き起こし、努力し続けてこられた方が幾人もいらっしゃいました。その方々の凄まじいお話を伺っていますと、不可能を可能にするにはとにかく「忍耐」が必要なのだろうと思いました。たぶん一念発起して実行に移すのはそんなに難しいことではないのです。でも、その先に進むこと、たとえ四面楚歌でも、もうダメかもしれないと絶望しても、それでも辛抱し続けることは並大抵の覚悟でできることではありません。この方々は、目の前の課題をひとつ一つクリアし続けながら、諦めないで踏ん張り続けた結果、ようやく頭ひとつ抜きん出た存在になってこられたのだなと思いました。

「行燈ではなく街灯を」というのは、小説好きの私がある物語を読んで思いついたことです。自分が進みやすいように自分の足元だけを照らすのではなく、街全体を明るくできるような生き方をしたいと思っています。FIWAも同じです。世の中をよくしたいと思って活動しています。当協会の理念は、「生活者が経済的束縛から解放され豊かで幸せな人生を実現できるための支援活動を行います」というものです。同じ問題意識、志を持ったアドバイザーのみなさんが集まってくださっています。

投資ルネッサンスから17年、今、国を上げて「顧客本位のアドバイザーを育成、認定しよう!」と進んでおります。もちろんこれからが本当に大変なのですが、FIWAもJ―FLECも理念は同じです。

全ての人が金融リテラシーを向上し、経済的自由を手に入れられるように、私たちアドバイザーは、顧客のために素晴らしい仕事をしていかなければなりません。価値ある助言を与えられるアドバイザーになるため、努力を続けて行かなければなりません。  

イベントに参加してくださった方々が、アドバイザーという仕事に魅力を感じ、また、倫理観を持って、プロフェッショナルとしてさらに向上していくことを改めて決意してくださったとしたらこんなに嬉しいことはありません。アドバイザーの仕事は、自分の人生経験がまるごと、失敗も含めて糧になる素晴らしい仕事です。

そしてお客様も、私たちアドバイザーにご相談いただくことで、ご自身の人生においてより賢い意思決定を行い、ライフプラン・キャリアプランに基づいた合理的なマネープランを実行し、幸せに豊かになっていただけると信じております。

私たちは、20年後に、「あの時のアドバイスのお陰です」というありがとうを聞くために努力を続けたいと思います。

FIWAは志を同じくするアドバイザーの皆さまが学び続けられる場所であり続けます。長期投資を続けるみなさまの集うコミュニティでありたいと思います。今後ともFIWAをどうぞよろしくお願い申し上げます。