【Vol.265】FIWAマンスリー・セミナ講演より(講演2)
私の投資教育20年の変遷
特定非営利活動法人 みんなのお金のアドバイザー協会 代表理事 会長
ファイナンシャル・ヒーラー 兼 投資教育家
岡本 和久CFA
レポーター:赤堀 薫里
今日は20年くらいやってきて体験した投資教育の変遷という話をします。
バフェットさんは「生涯を通じた投資で成功するためには、飛び抜けたIQも非凡なビジネスセンスもインサイダー情報もいらない。ただ必要とされるのは、投資判断のための健全で知的なフレームワークと、感情のブレがそのフレームワークを破壊しないように心がけることだけである」と非常にいい言葉を言っています。
また、ウィリアム・バーンステインは、「資産運用を始めるのは「知」のみでもできる。しかし、それを「人生を通して続ける」ためには、「情」、感情から発生するストレスをコントロールし、揺るがない「意」志が持続されなければならない。そのためには4本の柱が必要なんだ」と言っています。要するに「知」「情」「意」というこの3つがまず必要なんだと。そして次が4本の柱だというのです。
やはり「知」「情」「意」、これはある意味、分野みたいな話になりますが、理論だけ知っていてもダメです。といって、気持ちや感情だけでもダメ。やはり、意志がなければ何も始まらない。彼はこれらをサポートする4本の柱が「投資理論」、「お金と心の関係」、「歴史」、「業界構造」であり、この4つをしっかりと学ぶことが大事なんだと言っています。
これによって投資運用耐久力ができてきます。そして長期投資が可能になってくる。それには非常に幅広い分野、知識が必要です。そういう意味で今一般に言われている投資教育はなかなかここまで広がっていないように思います。
人生という視点、歴史的な視点、あるいは理論的な整合性全部を含めて投資というものを幅広い視点で伝えていくことが大事なのではないかと思います。私は来年から始まるFIWARサロイン塾では、その辺のところを初歩からしっかりやろうと思っています。
バーンステインさんは、「マーケット全体を買うことは、金融の世界で最も強力な知識集団的英知を利用できるということだ」と言います。要するに、世の中に投資に参加している人は非常にすごいIQの人もいれば、ものすごい投機家、博打打ちみたいな人もいる。そういう人たちの集団的な英知がマーケットに集約されている。
本当に必要なアドバイスは、ライフプランにあった資産全体の資産配分。また、他の人々が理性を失っている時に自制心を保つ。これも非常に重要です。昨年も3000円か何か大幅安して、翌日もっと上がったみたいなことがありました。3000円下がったからと慌てて売った人は値上がりをミスしているわけです。そういう自制心。自分のやろうとしていることをしっかり掴んでそれに向かって進んでいくというその気持ちが必要です。
メディアで得られる情報のほとんど全ては投資業界とジャーナリストの相互依存から生まれます。メディアが全部悪いというわけではなく、本当にいいメディアでいい情報を出しているところもあると思います。一般的に言えば、やはり新聞なら新聞、本だったら本。部数を売りたいという、それが最初の希望になります。正しいこと以上に何か売れるということを全面に押し出してくると、それは問題だと思います。
また、投資を学ぶ上で何より有効なのは歴史を学ぶことです。歴史の後ろ側にある世相というか、人々の真理といったものがマーケットの基本的な大きな流れを作り出していると思います。
よく、長期、分散、積立は重要だと言いますが、私はそれだけでは足りないと思っています。一つは継続。途中で休まない。もう一つは資産の流出を防止するという、ここの部分をしっかりと認識してほしい。いろいろな流出があります。例えば、勤労、所得、家計。働いて一部を資産運用に回し、一部を現役時代の消費支出に回します。残りを将来のための投資に回す。そうすると、資産運用から投資先企業にお金が移って、ここで付加価値が生まれ、投資の値上がり益があると、配当金が支払われます。それを現役時代の消費支出に加えて使ってしまう。これは将来のための投資資金の非常に大きな流出になります。やはり投資先企業から来た配当金、プラス値上がり益、両方を将来の生活資金のためにさらに回していくことが大切です。
配当の再投資の効果が大きい理由として、配当金が減配になる時は、業績が非常に悪い時です。業績が悪いから配当金を減配せざるを得ない。株価も当然下がる。でも常に傾向として言えることは、株価の下げ率よりも配当金の下げ率の方が少ない。要するに、株価は2割下がっても配当金の下げは1割。そうするとその配当金で2割下がった株を買っているわけです。その意味では積立より安い価格で買い戻しているということになります。流出の中で最も大きいものの一つが配当金を使ってしまうということです。配当金は再投資する。これは大事です。アドバイザーの人はこういう事実があるということを伝えておくべきだと思います。
講演では、投資方針書10項目の重要性の説明。また、「将来の自分は今の自分が支える」ための長期資産運用についての解説。最後に、1月から原則奇数月に投資未経験者を対象に無料でZoomにて開催するFIWARサロイン塾のご紹介をいただきました。
(文責FIWA®)



