【Vol.275】FIWAサムライズ勉強会より
個⼈投資家、消費者のための“ダイバーシティ”が企業価値を⾼める理由と具体的な取り組み
前⽥ 京⼦(まえだ きょうこ)⽒
ダイバーシティ推進コンサルタント
株式会社NTTデータグループ サステナビリティ推進本部 ⼈権&インクルージョン担当 所属
特定⾮営利活動法⼈(NPO法⼈)フェアトレード・ラベル・ジャパン 代表理事
「あなたが⻑期で投資したい会社」「安⼼して応援できる会社」とは、どんな会社でしょうか? 今⽇のお話のゴールは、このダイバーシティ、エクイティ &イクルージョン(DEI)を、未来を読む投資視点として考え、財務に出にくい⼈的資本を投資判断に活かすきっかけになればと思っています。
最初にダイバーシティ(D)とは、多様性です。いろいろな違いをもった⼈達が共存している状態。そしてエクイティ(E)とは、公平性。公正な機会、資源、⼒を持てるようにすること。インクルージョン(I)は全ての⼈達の弱みを理解して能⼒を最⼤限に発揮するということで、⾊々な⼈たちが働いてもみんな不⾃由なく働けるような環境にするということです。DEI、DE&IやD&Iと、いろいろな呼び⽅が世の中にもあります。⽤途によって使い分けているので、今回はまるっとダイバーシティだと⾒ていただきたいです。
このエクイティが多分一番分かりづらいと思います。公平とは、結果が同じようになるように、機会や環境、条件の公平性を目指しているような状況です。ダイバーシティとは、見える属性と見えにくい属性があります。目に見えやすい属性とは、性別、国籍、年齢、人種とか。障害は状況によって見えたり見えなかったりします。そして目に見えにくい属性は性格や価値観、宗教等、色々なものがありますが、どちらにしても、傷ついたり、嫌がらずに活躍できるような環境や職場を作ることを目指しています。
ダイバーシティが求められる背景としては、今すごく変化のスピードが早くて、複雑で、予測できない世の中です。多様な経験やスキル、考え方を持った人たちが新たなアイデアやソリューションを生み出す。人は財産だという考え方です。これは、企業が中長期的に伸びていくために大事なことです。お客様はダイバーシティが進んでいる企業かどうかをチェックをしています。また、機関投資家も企業の中長期的な成長を注意して見ています。学生さんは、学校でSDGs等も習っているため、そういった価値観が随分増え、就活の時もそういう目線で企業の数字を見て選ぶ学生さんが増えています。
ここで、世界と日本の動きと背景について触れておきます。世界の流れでは、環境、社会、ガバナンスの非財務情報のESG投資が拡大しています。EUでは、その企業のサステナビリティ報告指令が2023年からも始まっています。私のいる会社のヨーロッパ部門の人たちも、そこで事業やるとこれに合わせて色々な報告をしなければいけなくなり、てんやわんやになっています。アメリカでも、 トランプ政権下ですが、米国証券取引委員会による人的資本開示の義務が、今、上院の方で審議中だという状況です。日本では2023年から有価証券報告書で人的資本情報の記載が必須となりました。
人的資本とは 、例えば女性の割合や女性管理職率がどのぐらいだとか、男性の育児休職の人達がどのぐらいいるのか、障害者の活躍がどのぐらいなのかというような情報になります。ESG投資が拡大して資本市場の基準が変化してきているといった動きもあります。
ダイバーシティ経営のメリットについて7個の項目があります。1つめが、人材確保です。少子高齢化で労働力不足ということで多様な人材を受け入れる。受け入れることで、優秀な人材を確保できます。2つめがイノベーションの創出です。いろんなアイデアや発想が生まれやすくなったり、イノベーション創出につながったります。3つめが競争力の強化。色々なスキルを持った人材が活躍されるので顧客ニーズに柔軟に対応できるようになります。4つめがリスク分散。色々な人たちがいることで様々な意見や異論が出て、見落としや判断ミスのリスクが減少する。5つめが企業イメージの向上です。ブランドイメージが高まります。6つめが従業員のエンゲージメントの向上です。色々な人たちが尊重されて活躍できるような職場環境を作っていきますので、モチベーションが上がったり、定着率が向上していきます。7つめが1人1人のスキルアップということで、色々な人たちと協働することになるので、マネージメントスキルが上がったり、共感力など個人1人1人の魅力が高まったりします。
「多様性を包括されている人の方が魅力的だよね」という会話は、あちこちで聞きますが、そういった形の1人1人のスキルアップにもつながるということになります。つまり、今まで人はコストだという考え方、削除対象だというように言われることもあったかもしれませんが、今まさに本当に資本であり、価値を生む資産になっています。人的資本やダイバーシティが企業の重要な価値の厳選になっている状況です。
講演では、アメリカの動きとして世界の一部で吹く「反DEI」のトレンドの背景やDEI推進の状況について、また、ESG投資・ダイバーシティ市場の動きや、日本の状況と課題について説明。最後に職場でのダイバーシティ推進について事例をあげてわかりやすく解説頂きました。



