【Vol.275】今月のひとこと

今月のひとこと

外資系運用会社で私が学んだこと(1)

FIWA みんなのお金のアドバイザー協会®
会長 岡本和久


私は80年代の後半、バブル時代に日本の証券会社でチーフ・ストラテジストをしていました。その前、9年間に渡るニューヨークでのアナリスト経験があり、日本ではまだ数名しかいなかったCFA(グローバルな最高位のアナリスト資格)も取得していました。アメリカの証券会社からはリクルートのオファーが結構ありました。その給料は億単位のとてつもなく高いものでした。

しかし、日本の証券会社の営業姿勢には大きな疑問はあったものの、私自身、仲間を置いて転職するのも忍びないものでした。また、マーケットもかなり成熟しており長期にわたる低迷相場が近いのではないかとも思っていました。その時に果たしてそんな高い報酬をもらってポジションを維持できるのか・・・。そういう思いが強かったのです。日本のマーケットは1989年末をピークに下落が始まりました。新聞のトップで自分の所属する会社の違法行為が伝えられたりしました。徐々に私は本当に自分のプロとしての腕を磨くべき時がきたという思いが強くなってきました。

そんな時にウェルズ・ファーゴ・インベストメント・アドバイザーという年金運用革命の旗頭の会社からオファーがあったのです。この会社ならまだ40代前半の自分にとっても新しい資産運用の学びの機会になるのではないか。アメリカから帰国して6年経って新しい空気を吸いたいという気持が湧いてきました。話を聞こうということで1990年11月にサンフランシスコの本社を訪問し、当時の会長、CEOのフレッド・グラウアー氏と面談をしました。

最初に私が質問したのは「貴社の成功の一番の秘訣は何ですか」というものでした。アナリストとしてたくさんの企業訪問をしていた時の経験が役立ちました。彼の答えはシンプルでした。People, people, people。要するに「人だよ」ということでした。正直、この言葉にはしびれました。

ではあなたが考える良い人材とはどんな人ですか?と更に聞くとこれもシンプルに三つの言葉で答えてくれました。Brightness(聡明で明るい人), Niceness(誠実でナイスな人), Fire in the belly(お腹に情熱の火が燃えている人)でした。

その後、20名ぐらいの各部門のヘッドと面談、みんな何を聞いてもよどみのない本当の一流のプロばかりでした。私はすっかり会社の経営と人材のすばらしさに魅了されました。彼らも私を気に入ってくれ入社が決まりました。

グラウアー会長からは「当社の給料は平均並だ、成果はボーナスで支払う。ボーナスはゼロから無限大だ。ベース給料は毎年、昇級することはない。また、ボーナスは前年と同じ実績なら0だ。毎年、どれだけ貢献度が増えるかによって決める」と言われました。その時、この本を読むといいよと言って渡されたのが「孫子の兵法(英訳)」でした。

私は「とにかく一生懸命やります」と言ったのですが、彼は言下に「一生懸命やるのは当たり前だ。重要なのはどれだけ貢献できるかだ」と言われたのを覚えています。「そうだよな、そりゃ当たり前だ」と思ったものです。日本の経営となんと違うことか!よし、日本で年金運用革命を起してやろうという気持がムラムラと湧いてきました。

(以下、次号に続く)

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