【Vol.279】FIWAサムライズ勉強会より

益田理事に聞く「投資講演会の在り方を考える」

特定非営利活動法人 みんなのお金のアドバイザー協会 代表理事 会長
ファイナンシャル・ヒーラー 兼 投資教育家
岡本 和久CFA

会長 岡本和久

特定非営利活動法人 みんなのお金のアドバイザー協会 理事
CFP®、FIWA®、J-FLEC認定アドバイザー、1級ファイナンシャルプランニング技能士、1級DCプランナー、DCアドバイザー、企業年金管理士
   益田 眞一 氏

益田 眞一

岡本|益田さんの簡単な自己紹介と、なぜFIWA®︎のメンバーになったのか。そしてなぜ理事になろうとしたのか、お話いただけますか?

益田|今はリタイアしましたが、長年サラリーマンをしていました。前勤務先は中国新聞社という地方紙の一つです。そこでは営業をやっておりましたが、2003年に確定拠出年金の法律ができ、会社で確定拠出年金を入れる動きがあった時に営業から人事系統に席を移りました。そこからサラリーマンの後半まで、制度設計から制度の運営、実務、途中から社員向けの継続教育に携わってきました。

金融機関の投資教育はどうしても一般論に終始してしまい、本当のところが伝わってこないと社員からも話があり、少しできるとこからやってみようかな、という気持ちでいろいろな資格を取りながら自分が講師となり、社員と向き合ってきました。いろいろな取り組みを始めてから、確定拠出年金という分野だけではなく、人と人とのものの伝え方、伝わり方、話し方について非常に勉強させてもらった思いがしています。

サラリーマンをやりながら社内講師だけに留まることなく、社外的ないろいろな活動にも領域を広げていきたいという強い思いから、FPや企業年金、他の会社様へのサポートや講師、講演というお話もいただきました。新聞社は、昨年の秋にリタイアしましたが、それ以降もおかげさまで現役と変わらないような形でいろいろなお仕事をいただいています。ちょうどリタイア前後に思っていたのが、社会人になって、長期・分散・積立という話の中で、短時間で自分なりの商品を選ぶというのは無理な話ではないのか?もっと若い世代の頃から、正しいお金の理解、お金との向き合い方を普及させ、浸透させていかないといけないのではないか?という問題意識です。

職域だけではなくて生活者目線で、世代の領域を離れた裾野の広いお金、金融教育をどんどん押し上げていかないといけない。最近、NISA等、いろいろな制度が出来てきましたが、本当の意味での浸透は、そこの押し上げがないと上手くいかないのではないかなと思っていました。そんな時に岩城さんと知り合い、FIWA®︎が目指すところと自分の考え方が一致して、ここでやってみよう、少しでも役に立ちたいという思いを強くした次第です。

岡本|確定拠出年金ができて、投資についていろいろなことを勉強して、投資をしなければいけないという話で終わっています。そうではなくて、自分の人生をどのように考えるのか。家族や友人、いろいろなものをトータルで考えて、その中で自分の将来を見据えて、どういうことを若いうちから準備していくのか。確定拠出年金は、そういうトレーニングの絶好のチャンスです。

やはりそこで「この銘柄が上がりそうです、下がりそうです。」といった話とは違った次元での投資について学ぶことがあると思います。昨年の初めからサロイン塾という形で、全く何も知らない人に無料でオンラインでやっています。昨年だけで2千何百人に聞いてもらい大変ありがたいことでした。

「投機と投資はどう違うの?」「資産運用の本当の意味はどんなことなんだろう?」「株式と債券はどう違うの?」といったテーマでお話をしました。我々は、何のために将来に対する備えを作っていくのか、人生論に根差したような投資というものを少しでも知ってもらいたいと思っています。随分参加者は変わってきたと思います。生活者は何千人という話ではなくて、何億人いるわけですから、もっともっとそれは広めていかなければいけないですね。

益田|そうですね。岡本さんの著書も拝読させていただいたり、サロイン塾を拝見させていただいたりすると、日常生活からそのまま一歩踏み出したところに投資という話があるため、非常に聞きやすく、誰にとっても自分の事として聞くことができます。

岡本|私の場合、一昨年は長期で入院をしていました。ベッドで寝ていると、看護師さんや、掃除のおばちゃんとか、私が投資関係の人間であることを知って、いろいろな人たちが病室に来るんですよ。そして、「NISAをやった方がいいんですか?」とか、「投資と言っているけど、投資は本当に大丈夫なんですか?」というような話をしてきます。

やはり本当に普通の人たちが自然に「将来の自分は、今の自分が支えるんだ。」という発想で、その手段が確定拠出年金や、積立投資であるということを言ってあげる。「今、上がりそうな銘柄を買っておいて上がったら売って、下がったらまた買ってとか、そういうことではなくて、とにかく積み立てで安くなったら多めに買う。高くなったら少なめに買う。それをずっと続けていけば必ずコストの安い塊ができるので、それをとにかく何十年と続けるつもりで、やったらいいですよ。」そのように言うと、「そうなんですか」と驚く人が結構多いです。そういうことを聞いたことがなかったと言います。みんな投資とは、新聞の証券欄の方に目がいってしまうみたいなところがある。やはりその辺の基本的な考え方を変えていきたいですね。

益田|生活者目線といった心掛け一つで資料の作り方、見せ方、話し方も多少変わってくるのではないかと思います。やはり、生活者目線を外してはいけないと強く思っています。だから私の資料もいつも自前で作ります。日常の暮らしの中にあるものの例え話とか。本当に漫画のようで非常に恥ずかしいですけど(笑)日常の暮らしの中にあるものに置き換えて、専門的な言葉は全く使わないようにしようと思っています。非常に難しいのですが、そういった取り組みは必要だと思います。常に生活者目線というところを心掛けておかないとですね。

岡本|そこが金融機関の営業、セールスと全然違う点ですね。金融機関は、ある程度難しいことを言わないとお客が商売してくれないという思い込みの部分があるわけです。「アメリカ株は、これから上がりそうですよ」とか、「これからインドが面白そうですよ」とか。「日本の中のこの銘柄が!」というような話があると、「この人いろんなこと知っているんだ。それでは一度試して買ってみようか」というような商売の仕方が中心。我々FIWA®︎はそうではなくて、「あなたの人生を考えたときに、今やっておくべきことは何ですか?」ということを伝えたいです。

岡本|サムライズ勉強会の後に行われる懇親会についてどうですか?

益田|僕は何度か東京に行ってリアルで参加させてもらいましたけど、それは楽しいですよ。

岡本|それでだんだん知り合っていくというね。今はオンラインが中心になっていますから、人間的なつながりというのは非常に難しくなっていると思います。やはり地域で何か懇親会みたいなものをするといいですね。例えば、講演会そのものは全国ネットのオンラインでしても、その後で、例えば大阪で聞いている人たち同士で一回集まろうよ、とかね。人間的なつながりができてくると、投資もすごくすんなりと気持ちよくできる。難しい話をお互いにしているわけではないけれども、自分一人じゃないんだなと、お互いにちょっと意見交換してみる。それだけでも随分違うと思います。懇親会はバカにできないと思います。

益田|そうですね。やはり最後は人なんだろうなと思います。世代を超えていろいろな展開ができたらなと思います。社会人だけでない、職域だけでない、もっと学生層も含めて、若いうちからのお金との正しい向き合い方を醸成していく必要があるのではないかなと思っています。その一つの役割が担えられたら幸せだなと思っています。

岡本|今日は忙しいところ、どうもありがとうございます。大変興味深いお話でした。