【Vol.283】お役立ち情報

日本株市場の空気感は、二つの株価指数で大きく違う!

本日の株式市場は、米国の利上げ懸念から2,000円安という状況ですが、日経平均は、これまで年初からすさまじい上昇となっています。
昨年来の日経平均の動きを、先週央時点で見てみましょう。

2026年6月3日 68,402.13円
2025年5月末 37,965.10円から+80.2%
2025年12月末 50,339.48円から+35.6%
2026年3月末 51,063.72円から+34.0%

このようにすさまじい上昇となっています。
一方で、市場全体の値動きを示す東証株価指数(TOPIX)を同期間で見てみましょう。

2026年6月3日 3,996.20
2025年5月末 2,801.57(+42.6%)
2025年12月末 3,408.97(+17.2%)
2026年3月末 3,497.86(+14.2%)

このように、日経平均の上昇率が東証株価指数(TOPIX)を2倍近く上回っています。この違いは、いったい何なんでしょう。2大指数で、これだけの違いがあるのですから、そのからくりはぜひ知っておく必要があります。

□ 日経平均は株価の単純平均、TOPIXは時価総額加重平均

日経平均が選定した構成銘柄225社の株価の単純平均で算出されるのに対して、TOPIXは東証全銘柄(約1650銘柄)の時価総額加重平均で算出されます。

日経平均は、採用されている225社の銘柄のなかで、高い株価の銘柄の影響力が大変大きくなります。たとえば、ファーストリテイリング、キオクシア、キーエンス、ディスコ、東京エレクトロンは、いずれも株価は5万円を超えています。算出方法が(分割による調整は加えますが)基本的に株価の単純平均です。そのため、トヨタの株価は2800円程度ですので、時価総額はトップ級でも、日経平均への影響力(構成比0.85%)は上記銘柄に比べて小さくなります。

□ 日経平均に占める株価上位5社の構成比は40%!

1位 ファーストリテイリング 10.0%
2位 アドバンテスト 9.5%
3位 ソフトバンクG 9.1%
4位 東京エレクトロン 8.0%
5位 TDK 3.1%

実に日経平均採用銘柄225社のうち、銘柄数で2.2%の上位5社が40%の指数への影響度を持っているのです!この5社を見ると、ファーストリテイリングを除くと、すべて半導体やAI関連。いわゆる時流に乗っている銘柄です。

□ 機関投資家は、どちらの指数を基準に運用成果を評価するか

ところで、日本株の運用成果を評価する場合に、年金運用、投資信託、外国人投資家などの機関投資家は、主要株価指数を基準に、自分たちの運用成績を評価します。その時に使う株価指数(ベンチマーク)は、すべてTOPIX。ベンチマークは、日経平均にはしていません。そのため、TOPIXも昨年来上がっていますが、実は日経平均の半分の上昇率で、機関投資家の運用成果がTOPIXを上回っていても、日経平均からは大幅に下回っている可能性大なのです!ここでとっておきのニュース。実は世界最大の機関投資家、我らの年金を運用する年金積立運用事業団(GPIF)の250兆円の運用資金のうち、日本株で4分の1を運用しているのですが、ほぼすべてTOPIX連動(TOPIXの通りに動く)です。要は、日経平均の上げ幅のほぼ半分で、AI、半導体で沸き返っている株式市場とは、空気感が全く違うということです。

また運用担当者は、運用成果がベンチマークのTOPIXを上回っているといばっても、日経平均には大幅に下回っている可能性が大きいのです。

このあたりのことは、マスコミは、東証への遠慮、さまざまな方面への配慮などがあり、なかなか書けません。しかしながら、皆さんは、よく知っておく必要があります。

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