【Vol.282】FIWAサロイン塾講演より(講演)
実践に有効な投資理論の基本
(5月17日第3回 FIWA®サロイン塾 前半)
今日のテーマは投資理論です。
今日のお話は理論ではなく、先駆者がどのように投資で成功したかという理論的に有効な実践の方法のお話です。理論が分かってくると、理論的に非常に整合性のあることをしていることがご理解いただけるでしょう。
最初に割引率についてです。例えばあるデパートが発行する1万円の商品券があります。これはその時からすぐ使えます。これを買う場合、1万円の商品券ですから1万円です。
ただしその商品券は今年ではなく、1年後から使えるということならどうなりますか?1万円では買いたくないですよね。9,000円ぐらいなら買いましょうか。仮に2年目からしか使えないとなったらどうか。8,000円か、もうちょっと割引いて7,500円ぐらいかな?と感覚的にあるわけです。3年使えないなら5年使えないなら、あるいはそのデパートの業績が非常に悪くなって、最悪デパートが倒産するかもしれない。そうなったらこの商品券はどうなるのか。そうすると、ほとんど価値がないみたいなことになるかもしれない。あるいは業績は悪くないけれど、食料品には使えないようにルールが変わってしまったとか。要するに条件がいろいろ変わってくると値段は変わってくる。だから今1万円の商品券を買えば1万円ですが、その後何が起こるかによってすごくいろんなことが変わってくる。今の価値と将来の価値、将来起こっていることが影響している価値というのは違いが出てくるわけです。つまりどれだけ割引して考えるかというのが割引率です。
このような問題に取り組んでいったのが、アーヴィング・フィッシャー、マイロン・ゴードン、ジョン・バー・ウィリアムズ、そしてベンジャミン・グレアム。この先生方のお話をします。
最初はアーヴィング・フィッシャー。金利というものを徹底的に考えた「The Theory of Interest」金利の理論を発表しています。この方は、経営者の質を非常に重視する、いわゆる生情報を重視する人です。
今年、来年、再来年と何年か分けて現在の価値がどれぐらいあるのか、それぞれの割引率を考えていく。先ほどの商品券の話とちょっと似ていますが、毎年毎年の企業の価値がどうなるか、それによって同じ配当金がずっと払われてもそれを現在の価値にしたときに違いが出てくるはずである。すごく長くなるとかなり怪しくなってくる。安定的に非常に利益を上げていけそうな会社とでは現在の価値は違うわけです。そういう投資の本質、利子率や現在価値などの基礎理論の確立をしました。証券の価格というのは、キャッシュフローの現在価値である。これからずっと起こっていく、得ることができるキャッシュフローの全部を現在の価値に割り引いたときの合計が証券の価値なのではないかということを言い始めました。それまでは、株価は非常に投機的なものであって、売買で値段がついていた。需給関係で決まっているような面があった。この理論を彼が出したのは1930年。1929年に大暴落がありました。その後、株価には何かもうちょっと拠り所になる理論があるはずだ、というようなことから出てきた理論だと私は思っています。
次に出てきたのがマイロン・ゴードンという方です。フィッシャー先生は1年後、2年後、3年後、4年後と全部の割引率をそれぞれの時代で合わせて変えていきました。しかしそれをやるとものすごく大変な作業になってしまう。それでこのマイロン・ゴードンが考えたのは、一定成長という前提にしたらどうだろう。要するにデコボコはあっても、ある程度安定的にずっと得られる業績があるはずだから、それを平均的な一つの割引率で考え直したらどうでしょう、ということです。このフィッシャーの考え方をもっと単純化して出てきたのが有名な「ゴードンの方程式」です。
株価の現在の価値は、分子に配当金を置いて分母に何%ずつ割引していくかという割引率マイナス成長率。株式の価値=配当金/(割引率-成長率)。10%の割引率でも、利益が5%上がっていれば、実質5%割り引いてくれれば利益の方でカバーしてくれます。それでいいんだという考え方が入ってきた。これが「ゴードンの方程式」です。
次に出てきたのがジョン・バー・ウィリアムズです。この先生は1900年に生まれて1989年まで生きていらっしゃった方です。将来のインフレ調整後の配当金、キャッシュフローを投資家が要求する利子率で現在価値に割り引いたものが現在の株価である。要するに、インフレ率、投資家が求めている割引は、実質金利をベースにした割引率を使って計算する。
企業収益は配当金を支払うという目的のための手段である。要するに「牛はミルクのため」「めんどりは卵のため」「株式は何と言っても配当のため」である。「配当こそ価値の源泉である」ということで、先ほどのキャッシュフロー割引法の基礎をこの先生もまた確立していきました。
講演では投資理論の先駆者の一人であるベンジャミン・グレアムの紹介と、その後実際に運用で大成功しているテンプルトン卿、ウォーレン・バフェット、ピーター・リンチ、フレッド・グラウアー、ジャック・ボーグルについて、実際にコミュニケーションをされた中で感じたことをお話しいただきました。



