【Vol.281】FIWAサロイン塾講演より(講演)

ポートフォリオ理論 マーケットは投資家より賢い(下)

特定非営利活動法人 みんなのお金のアドバイザー協会 代表理事 会長
ファイナンシャル・ヒーラー 兼 投資教育家
岡本 和久CFA
レポーター:赤堀 薫里

Okamoto

(3月15日第2回 FIWA®サロイン塾 後半)

「市場は効率的であるか」ということに切り込んだのが、ユージン・ファーマ先生です。効率的市場仮説。入手可能な全ての情報は直ちに株価に反映される。その結果、同一方向へ連続した株価の変化は、ランダムな変化に比べてはるかに起こりにくい。要するに、同一方向に連続したトレンドは起こりにくいものなんだ。常に相場は動いている。投資判断に有益な情報は即座に株価に反映されている。他人が知らないと思う情報を入手して他の投資家を出し抜こうとする努力は虚しい。これは株式市場のランダムウォーク論です。ランダムウォーカーという有名な本がありますが、「株式市場とは、ランダムに動くものなんだ」というランダムウォーク論は、ファーマ先生が発表したものです。

彼は、市場が効率的であるという効率性を見る基準として、3つのレベルを発表しています。まず、第一が効率的市場仮説の検証です。

  1. ウィーク・フォームとは、過去の株価、出来高というような市場データはみんな見ているので、このように発表されたものは株価にすでに織り込まれています。
  2. セミストロング・フォーム。公開情報、決算やニュース、経済指標もセミストロングで、ウィーク・フォームほどではないけれども、相当程度含まれている。
  3. ストロング・フォーム。公開、非公開。公開情報プラス非公開のもの、つまりインサイダー情報なんかも含めて、株価に織り込まれている。

彼は、このような3つの段階に分けて市場の効率性について分析しました。ウィーク・フォームとセミストロング・フォームの検証においては、仮説を退けるに至る重要な証拠は全くないと証明できる。つまりウィーク・フォームとセミストロング・フォーム双方ともすでに株価に織り込まれている。そしてストロング・フォームでも、わずかな例外的な証拠のみが仮説を退けるに過ぎない。大体において、株式市場に関連するような情報は、今の株価に織り込まれている。絶対極秘のインサイダー情報といったものが一部あるかもしれないけれど、全体として見れば非常に効率性は高い。しかも情報化です。コンピューターあるいはマスコミメディアといったものの浸透を考えると、ますます効率性は高まってきている。

基本的な考え方は、割安株は存在しない。市場平均を恒常的に上回ることも不可能だ。株価はランダムに動いている。その後どういうことになってきたかというと、パフォーマンス評価。いろいろなアクティブのプロの運用者のパフォーマンスを分析すると、あまり一貫性があるとは言えない。もう一つアノマリーという、いわゆるノーマルではない異常な株価の動きが時にはある。でも全体としてみると、ウィーク・フォームとセミストロング・フォームについての検証においては、仮説を退けるに至る重要な証拠は全くない。ストロング・フォームもわずかな例外のみが仮説を退けるにすぎない。そういう意味では、行き着くところ市場は投資家より賢いということだと思います。

ここで、シャープ先生がアクティブ投資の算術論を出しています。これは本当になるほどと目から鱗みたいな説です。確かにこれまではアクティブがインデックスに負けていたけれど、いつまでもそんなことはない。成長株や小型株の方が市場全体のパフォーマンスより高いに決まっているじゃないか。インデックス運用の有用性なんて非現実的な仮定に基づくものだ。みんなが情報を持っているなんてそんなことあり得ない。トップクラスのファンドマネージャーなら市場に打ち勝てるというのがよくある話だ。みんなそのように言っています。でも、よく考えてください。取引売買コストの控除前では、アクティブに運用されている資金全体のリターンは、インデックス運用されている資金のリターンと同じである。アクティブが全部固まったら、市場全体ができるわけですから、市場全体の指数とアクティブを合体したものとのリターンは同じになるはずです。ただ、コスト控除後では、アクティブ運用されている資金全体のリターンは、インデックス運用されている資金のリターンをコストの高い分だけ下回る。

要するに、アクティブで売買するということは、当然、売り買いに伴って手数料もいります。また、個別銘柄で儲けようとしているわけですから、情報もいろいろなコンピューターのデータベースを買ったり資料をたくさん読んだり、会社訪問で出張したりというコストが全部掛かっている。でもインデックスはそのようなコストは一切掛かっていない。そういうコストは当然、投資家が最終的に払っています。つまり、投資家がネットで受け取るリターンは、コスト分インデックスよりも下回っている、ということです。

これが永遠の真実だということをシャープ先生はおっしゃっています。

講演ではお薦めの5冊の書籍のご紹介と、最後に長い経験でたどり着いた、株式市場の本質についてわかりやすく解説くださいました。