【Vol.281】エクスパート・オピニオン
【新連載】金融史観~金融史が語る資産形成の未来~
① 人類の歴史は資産運用の歴史
平山 賢一東京 海上アセットマネジメント チーフストラテジスト
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※フィナシープロ 「金融史観~金融史が語る資産形成の未来~」より同社の了解を得て再掲 ==============================================
この記事は私の20年来の良き友人でかつて当社会報誌「インベストライフ」でも創刊来、多大なご協力をいただいた平山賢一さんの連載寄稿です。この度、平山さん、finasee社様のご了解を得て小誌での掲載をご了解いただきました。常に歴史的視点から金融を俯瞰している平山さんの知見は長期投資を行うみなさまにとって非常に有益だと思います。ぜひ、記事の最後に紹介するURLで全文をお読みください。また次号以降も同様な形式で記事をご紹介していきます。(岡本和久)
平山 賢一(ひらやま・けんいち)
東京海上アセットマネジメント チーフストラテジスト
1966年生まれ。資産運用会社を経て、1997年東京海上火災保険(現:東京海上日動火災保険)に入社。2001年東京海上アセットマネジメントに転籍、チーフファンドマネージャー、執行役員運用本部長を務め、2022年より現職。メディア出演のほか、レポート・著書などを多数執筆。主著に『戦前・戦時期の金融市場 1940年代化する国債・株式マーケット』(日本経済新聞出版)、『物価変動の未来』(東峰書房)などがある。『ハートで感じる資産形成』シリーズなど、YouTubeでの発信にも取り組む。
東京海上アセットマネジメント/公式チャンネル
この連載では、新NISAをキッカケに、多くの国民が取り組みはじめた資産形成について、金融の歴史から見つめ直し、その先の資産運用の未来像を描いていきたい。
過去(歴史)と現在、そして未来を結びつけるなど、大げさなもの言いかもしれない。だが、ここ数十年の金融市場の足取りからは推し量れないほどのスピードで、現在の運用環境が変化しているだけに、タイムホライズンを拡張すべきと考えている。大きな変化の行く先についてイメージするならば、より長期の視点から今後の動向を見晴らすのは、少なからず意味があるだろう。
35年にわたり金融市場の片隅で資産運用に取り組んできた筆者にとっても、改めて資産形成という視点から、金融史を確認するのは大きな意義がある。驚くべきチェンジに直面した際、金融史の事例を、その共通点と相違点に区分して探ることで得られる気づきがあるはずだからだ。
金融史を紐解く三つのアプローチ
それでは、金融の歴史を探るには、どのようにアプローチしたらよいのか。概ね次の三つの関係の歴史を通していくと、金融史の実像を捉えやすいのではないか。「カネとモノの関係史」、「カネとカネの関係史」、「カネと金融資産の関係史」の三つである。
第一に、「カネとモノの関係史」とは、貨幣と実物経済との関係の歴史である。物価は、貨幣を基準に計測されるため、カネとモノの関係史とは、貨幣と表裏一体の物価の関係を遡ると言い換えてもよい。総じて物価の上昇は、貨幣価値の下落を意味し、物価の下落は貨幣価値の上昇を意味する。それぞれは、金利とインフレ率という指標を基準に語られるため、マイナス金利の解除や消費者物価指数の上昇という現象も、カネとモノの関係史という視点から見直せよう。
第二に、「カネとカネの関係史」とは、各地域・国家の通貨間の関係の歴史である。ある経済圏で支配的に流通する貨幣は、支配的な貿易決済通貨として国際通貨システムを形成する。この経緯を辿るのは、各通貨の相対的位置付けの歴史の探求でもある。為替レートの変動が、その指標となるため、円安や暗号資産の変動という現象も、カネとカネの関係史という角度から再考できるのである。
第三に、「カネと金融資産の関係史」とは、貨幣と株式・債券(金銭貸借)などの有価証券および不動産との関係の歴史である。この関係性は、様々な利回りという尺度により計測することが可能だ。たとえば、短期金利で計測される貨幣、益回りもしくは配当利回りで計測される株式、利回り(スプレッド)で表現される債券(金銭貸借・不動産投資)という具合に、それぞれの価値を比較できるという特徴がある。この連載では、3つの視点を意識しつつも、特に三番目の金融資産の運用が、歴史的にどのように行われてきたのかという点にスポットライトを当てて、紐解きたい。
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